あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

荷ほどき

長男が生まれた記念すべき日が、ちょうど紅葉の季節と重なるのが嬉しい。東京は毎年この頃は特に穏やかな小春日和が続いて、少し風は強いが空は遠くの方まで澄みきっている。 今年、長男と次男は、夫の車に乗って箱根方面へと一泊の旅行に出かけた。勿論、子…

魔法の書

「君達はどんどん大きくなるね」と感嘆すると「じゃあ、お母さんはどうなるの」と眉を上げる子どもたち。「そうだね、お母さんはこれから、小さく小さくなるんだと思うよ」と笑ってみせると、「小さくなってどうなるの」と身を乗り出してくる。底なしの探求…

観察日記と名付けます。

時勢のため、長男の通う小学校では秋の運動会が、体育参観に変更になった。大掛かりな学年ダンスや組体操、組別対抗リレーなどを行わないかわりに、学年ごとの総入れ替え制で、体育の授業を保護者参観の形で催す運びになったのだ。 流れは至ってシンプルであ…

limited

踏み切った雲のはしを、もう振り返らずに、つむじ風を掴んで、駆け上がる。 一人分にさえ足りない翼、紺色の景色を叩いて走る、追い付けない貴方と知っている、巻き戻せないぬるい幸福と知っている。 もう、「自分」には邪魔されない。もう、「自分」には邪…

不純に、頑張れ!

褒めてもらいたくて頑張る、それは、不純な動機だろうか。人に頑張らされてるのでは消化しきれない物が残るだろうが、自分が前進する推進力の一つに、大切な人からの「頑張れ」というのはアリだと思う。 良い結果に向かっていくのに、動機の良し悪しを精査し…

「できあがってきたなあ」と思います。

「僕は寂しいから優しくしてくれ」と意思表示できる次男は本当に強い。笑ってはいけないが、彼が両手を広げて泣き顔で私の助けを待っている姿は、誠に人として逞しい。何でも一人でこなせてしまう人が強いとは考えない。立ち位置をきちんと把握して、できる…

栗匂う闇

蛍をよけながら夜の田んぼ道を歩くなどは、東京郊外に生まれた我が子には未経験の事だ。熱の無い黄緑色の明滅が、風のない夜闇の中に点と線になって行き交う。梢に止まって動かない光、川面に争う光、危なっかしく地面に降りる光、気ままに見えるがそれぞれ…

案外というか、意外というか、でもよく考えてみれば取り扱い説明書も「手作り」なんですよね。

小学校で国語の授業で「句読点の打ち方」を習った。長い文章へ読者が読み下しやすい位置に点や丸を打つと教えられたと思う。禁止事項や、より良い記入方法はあるものの、大約は分の切れ目を視覚的に示す役割がある、との事である。 句読点をどこに打つか。こ…

二つの瓜

そんな事、我慢しなくても良かったのに、と、子供を抱き締めてやりたくなる時がある。けれど、子供とて我慢している最中は、他の事に気が回らないくらい必死だったろうとも思う。「大人に相談できる」という方法があって、しかもそれはごく妥当な安全な方法…

謎から生まれた事が、謎のまま、立ち消えになった件

「さっき、(外で)誰がいたと思う?」と、学童保育所から帰宅した長男が嬉しそうに私へクイズを投げてきた。「学校の先生?」「違う」「〇〇君?」「違う」「えー、分からない」。息子が興奮しているのは明らかだった。「ねー、誰だと思う、いいから、答え…

早苗の頃

田を耕す人が減り、私の故郷の風景もだいぶ変わった。鬱蒼としていた神社の参道も、大幅に刈り込みの手が入り、並木は随分と殺風景になってしまった。ここ一年、帰省はできていないが、今頃の田植え時期は、どうなっているだろうか。 父が譲り受けていた畑は…

「嫌い」ってどこからやってくるの? (ちょっと苦手な虫の話。駄目な人は回れ右)

興味を持って観察しようと試みる人には申し訳ないが、私はゴキブリが苦手である。幼い頃には、おびただしい数の毛虫を箱に入れて飼った事もある私だが、ゴキブリにはどうも好意的な印象を持てない。昨年、秋の終わりだったか。夜中、寝る前の身支度にブラシ…

自由な国の自由な飲み物。

生姜、ナツメグ、クローブ、シナモン、黒胡椒、カルダモン。小鍋に入れたこれらを少量の水と共に、加熱する。エキスと香りを十分引き出してからCTCの紅茶を加える。再び煮立ったらすぐに火を止め、蓋をして蒸らす。湯が黒褐色に染まり、鼻に抜ける程の香…

置き去り

明治生まれの祖母は、駅の券売機で乗車券を買えなかった。路線図を見て、該当駅に表示されている金額分のボタンを押せば良いだけである。昔の券売機には、ボタンが配置されていて、その全部に値段が表記されている。行先までが120円なら120円のボタン…

やどかりのハウスクリーニング

42㎡に3人で住んでいる。子供が小さいとはいえ、かなりこぢんまりとした住まいだ。 これへ、風呂、洗面所、トイレなどの水回りと、ベンランダ、玄関スペースが含まれるから、実際の居室はそれこそ車庫ほどしかない。大型家電は洗濯機と冷蔵庫。食事用テー…

金でも切れぬ物

涙もろくて、本当にいけない。涙もろくなどなかったのだが、近頃、誠に涙もろくなった。 撮り溜めていた地上波放送の映画を観た。『殿、利息でござる!』で、泣いてしまった。 登場人物の十三郎と甚内、この2人の兄弟が、もう心底、よろしくない。弟を毛嫌…

ごっつんこ

眠いから寝る。腹が空いたら泣く。そんなふうに暮らしていた私が、それをしなくなって久しい。途中経過はあったにせよ、大人になって、「らしく」振る舞うように整えられて、ようやくここまで辿り着いたという感じがする。 自由だの、意志表示だの、主張だの…

手習いの道行き。

私は言葉を扱う世界にいる。だからこそ言葉を無下にはできない。 毎日、本当に、言葉に揉まれている実感がある。仕事で携わっている分、この雑記を書いている時は、実に気楽で純粋に楽しみながら、時に天衣無縫に文字の世界に溺れている。 好きな事を仕事に…

我が平熱を知る、という事。

とっさに何かしなければならない瞬間が、大人にはわりと日常に多くあって、思わず飛び出た一言だったり、知らずにしてしまった行動だったりがあるのだ。ただならない時や、不如意の時に限って、急を要する事が発生し、私達は自分の幼稚さや勉強不足を白日の…

はじめまして「お母さん」です。

子供達は、時々、甘えた声で「ママぁ」と私を呼ぶ事がある。私はすっとぼけて絶対に振り向かない。また繰り返し「ねえ」とか「あのさあ」とかをくっつけ「ママ」呼ばわりするので、今度はさっさと別の場所へ移動して彼等から私は姿をくらます。 追いかけて来…

ほんと、毎度、すみません。

気苦労な事であるな、と頭が下がる。子供の保育、教育に関わる現場の職員に対して、である。学童保育所から電話をいただいた。「ところでお宅のお子さんが」と来たので、例によって例の如しお説教だと、腹を括った。私の子等は、親が言うのもおかしいが、世…

ほな、「けつね」でもどやろか。

献立に困ると、きつねうどんを作る。いや、困らなくても、食べたくなるので、作る。 手付き小鍋で、簡単に作る事ができるので造作ない。出汁は魚介なら何でも良い。我が家は鰹出汁だが、昆布でも煮干しでも十分美味しいと思う。ただ、私が関西の生まれである…

貪する心

いつから私は、このように欲深くなってしまったのかと思う。 とにかく無事に生まれてくれ、とにかく息をしていてくれ、とにかく元気に過ごしてくれ、そんな事ばかりを願っていた我が子に、ああしろ、こうしろと、うるさい小言を飽きもせず言っている。食べこ…

この決心に、正直であろう。

伝えるのを怖がる必要はないけれど、伝える事にはやっぱり神経質でいようと思う。知らず知らずのうちに、伝わってしまうのが、負の物でないようにしたい。 私達は、様々なモノを残せる能力を持っている。送るための手段を持っているし、受けるための方法も周…

愛しき者への誓い

先日分かった事なのだが、7歳の長男には、ごく軽い自閉症状があるそうだ。日常生活には支障はないので、時々発現する「困った言動」以外は健常者と変わらない。専門医からの判断ではなく、小児科医からの問診でそう告げられたので、果てしなくグレーな診断…

季節の風味

新玉ねぎが好きで、季節になると必ず購入する。水分が多いため煮物には向かないが、ツナサンドの具や味噌汁には重宝する。冷蔵貯蔵すると芽が出やすくなるので、台所の隅に転がしておくに限る。腐りやすくて、繊細、保存には向かないがこれも旬の野菜の尊さ…

元製菓学校職員だから、そう考えるわけじゃないけれど……。

40歳を超え、我が衰えに愕然とする事がある。食生活に置いても、以前ほど量は食べられなくなったし脂っこいものに対する耐性も弱くなったと自覚している。 だけれども、バターを惜しげもなく使用して作る伝統菓子は好きだし、白米の旨さは他の食品より頭抜…

吾子の力

おおかた、私はその時、疲れていたのだと思う。最後の家事を終え、子供達が眠る寝所へ向かい、怠い身体を横たえて目をつぶった。眉間の辺りがぼうっと熱くなり、意識もせぬのに、涙が次々こぼれ落ちた。灯りを消し、カーテンを引いた真っ暗な寝室である。川…

崇高な天秤

その瞬間は、確かにすごく痛い。多少の衝撃もあるし、ズシンと心にこだます余韻もある。次の一手を思い付かないくらい腰が引けるし、怖気づく。反撃などしなければ良かった、主張などしなければ良かった、自分の窮地を自分自身が作ってしまった、そんな後悔…

更地にして考える。

骨格形成のため、我々の体内には骨芽細胞と壊骨細胞がある。インド神話には、世界の万物を産む創造神と、世を新陳代謝させ、万物を無にしようとする破壊神が登場する。 物事が整うには、双方の力が拮抗せねばならないとすると、私達が今の位置よりも変化を求…