あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

家族

母、再び。

私の母は、遠く離れて会えない孫達の事をいつも案じて暮らしている。時折、彼女の孫である私の息子達との電話で、話し込んだり忠告めいた事を言い含めたりしている。 私は思い余って口をはさみたくもなるが、しばらく押し黙っている。 私達姉弟を育てる時に…

取り柄など。

私の眉は、亡き父によく褒められた。父が子煩悩だったせいもあるが、艶めいた事が好きだった父は、美しい物事に敏感であった。職人として過ごしてきた年月もあるだろう、彼は美醜にさとかった。 平凡な顔立ちの私であるが、眉だけは絵筆で描いたように整って…

そこんところ 

食後のデザートと言えば、長男なら「ゼリー」と答え、次男なら「プリン」と即答する。夕飯のおかずが焼き魚なら、長男はムシャムシャと一心に箸を進め、次男は指先でそれを摘まみ、しかめっ面だ。私から確かに生まれた2人だが、その1人1人もそれぞれ別個…

道理を学ぶ。

長男が学童保育所で、顔に引っかき傷を作って帰ってきました。普段は仲の良い男友達と、喧嘩をした末の負傷でした。小鼻から唇の端を通って顎まで弧を描いた赤い傷跡。頬の所々にも少し、サクランボ大の腫れがありました。 周囲の監督員が止めに入る間もなく…

母の頭は花畑

独り親生活を続けて1年と半年になるこの春です。働きながらの独りきりの育児は、お世辞にも楽なものではありませんでしたが、しんどいと思いこそすれ寂しいとか悲しいとかいう感情とは無縁でした。新型コロナウイルス感染症の騒ぎで、家庭のリズムは多少狂い…

息子達を人として尊重しているからこそ、なのです。

「いう事を聴かない人のいう事は聴かないよ」。私が子供達によく言う言葉です。 優しい人には優しくしたくなる、汚れている場所には汚れている物が溜まる、そういう事ではないでしょうか。 自分の言いたい事を聴き入れてもらえないと嘆く前に、自分は誰かの…

深い穴

随分前から、迷っている事があります。それは、両耳にピアスの穴を開けるかどうかと言う事です。40歳を過ぎて、今更と思いましたが、若い頃から事あるごとに心に引っかかっていた事案でもあります。 問題は、この私の体は誰のものであるか、という事なので…

息子の心の泉には。

声を殺して泣いている長男の後ろ姿を、私は初めて見ました。 人目も気にせず、感情のままにあられもない姿をさらしていた昨日までの彼とは、全く違っておりました。 夜、2人の息子を仕事帰りにそれぞれ学童保育所と保育園へ迎えに上がります。先に次男を迎…

勝負する日

7歳の息子は学童保育所で『UNO』というカードゲームを覚えてきました。早速、休みの日に文房具店でデッキを1つ購入し自宅で私と対戦しました。 風呂上り、歯磨きも済んで後は眠るだけの少しの時間に、2歳の次男が見守る中、私と長男と2人きりの勝負で…

星影さやかに。

「CHIRONⅡ(ケイロン2)」は、1億4千万個の天体を描く事の出来るプラネタリウム投影機だそうです。人工的な光、月光、反射光などを全て取り除けば、我々がいる地上からも本来はそれほどの星空を見上げられるという事でもあるわけです。 空に浮かぶ…

責務

「どうしてお父さんとお母さんは一緒じゃないの(暮らさないの)」と改めて、長男から尋ねられました。私は、主人の悪口を子供に一切言いません。主人への批判があったとしても、息子達には関係の無い事ですし、彼等の実父をなじるのは、ひいては「彼等の半…

吹けよ、東風(こち)。

梅干しの生産量日本一の県出身である為、肩を持つのではありません。冬生まれの私が冬と春の境目に愛着を持つのは自然な事柄で、なおかつ桜よりも梅に魅力を感じるのは自然な流れであります。 パッと咲いてパッと散る潔さと華麗さは、確かに桜が好まれる条件…

鬼の居ぬ間

母が、男子に威厳をもって叱る行為は難しいものです。人の心根を見計らう能力が培われて来る頃には殊更なのかも知れません。家庭の「重し」としての「父役」も、我が家では母である私がしなくてはなりませんので、知恵が回り始める月齢の子等には、今一つ貫…

ひもとく。

大阪府生まれで和歌山県出身の私は、熊本県育ちの(元)主人との間に、東京都生まれ、東京都在住の2人の息子がいます。和歌山県生まれ和歌山県育ちの父はしばらく前に他界していますので、今は和歌山県の実家に大阪府生まれ大阪府育ちの母が1人で暮らして…

不特定多数が公言する「まとも」という場所より、ちょっとハズレに住んでいます。

「まとも」と言う事がどういう事を指すのかは、分かりませんが、片親であっても、側に居てやれなくても、子供はスクスクと育っていくようです。シングルですと告白した途端に向けられる同情じみた、もしくは相手自身の何かと引き比べているような薄笑いを目…

母の願いと超合金

いつかの「母」と「長男」 幼い頃から、私は可愛らしいものよりも、更にカッコイイものへの憧れが強かったです。煌めくビーズで飾られたドレス姿のモデル人形よりも、「超合金」と称するいかつい造形の鎧に身を包んだ、やたら濁点が付くヒーローネームのロボ…

私が辿り着けぬ場所

子供達にとって父親である私の主人は、いつまでもヒーローです。正確には「かつて主人であった人」ですが、書類上は未だ夫婦です。昨今は「卒婚」という表現があるそうです。婚姻関係にはあるけれども、全く別の生活を営む夫婦の事を指すとか。これは同居、…

冬日

私の弟には不思議な能力があります。生まれ持った色と言った方が良いかも知れません。ふれあい牧場で放し飼いにされてある馬に「おーい」と呼び掛けると、ポクポク、馬が彼に歩み寄って来ます。犬や猫などの比較的小型の動物ばかりを見慣れている私は、頭上…

知ってはいるんですけれどね、万能な人なんて、いないって。

主人とは別居していますが、子供達は時々主人の元で外泊をしています。週末に預ける事がほとんどで、ちょっとした特別感もあり、息子達も喜んでいます。私がケチ臭いので、甘やかしてくれる相手である主人の元で夜更かし出来るのが、幼子には楽しくて仕方な…

居場所の本質

大人であっても、最終的に欲しいモノは「安心感」でないのだろうかと思うのです。生活を安定させる為の金銭も、側で見守ってくれる伴侶の存在も、社会に出た時の地位や名誉も、元を辿れば、普遍的な「安心感」に根差しているのではないでしょうか。細分化さ…

南無、飯縄大権現

今日の東京は穏やかな冬日でありました。登山と言えば、各地に名峰ありながら、東京での手軽な山と言えば高尾山でありましょうか。八王子市にある600m足らずのなだらかな山です。2人の子供達を連れておりましたので、軽いハイキングのつもりで本日は登…

「元」主人の誘う「ねえ、次の飲み会、君もおいでよ」の要約、出来る人います?

ぽっかり、ふんわり生きている私でも、何もかもが平気という訳ではありません。別居で暮らしている(元)主人からここ最近、よく連絡が来ます。どちら様も年末の繁忙の最中で彼の仕事もひっきりなしであろうに、「昼飯を一緒にどうだろう」「映画を観に行か…

名馬の本音

「それは良いね、面白いね」「素晴らしいよ、どんどんやりなよ」そう言って子供をけし掛ける事が出来ているのなら、きっとその子育てはそれだけで成功していると言えるでしょう。「ほら、これどう?」と両手に大切そうに捧げ持っている、ワクワクするような…

神様ってさあ、結局は我慢強い人達だったんだよね。

しんどい時にユーモアを発揮するというのは並々でない「更なるしんどさ」があります。仕事と育児で切羽詰まっている瞬間に、努めて口角を上げているというのは至難です。他人から抉られるようなグサっと来る言葉を投げられたり、頭を掻き混ぜられるようなズ…

鬼の眼にも、ってやつです。

私、弱いのです。そう告白すると、必ずと言って良い程、世間様を馬鹿にしているのか、と反論されます。男勝りで、強情で、子供の為ならブルドーザーでも担ぎそうな私のイメージとはそぐわないからでしょう。 主人と別居を始め1年を越えました。書類上では「…

とこしえの松の枝

調理中、ラジオ代わりに落語を聴いています。主に米朝一門の演目を流しているのですが、故桂枝雀さんの語り口が好きでよく選びます。『代書屋』『子ほめ』『幽霊の辻』と次々流しては、暗い台所の隅で、フフフっと薄気味悪い笑いを忍ばせている私です。包丁…

年末ですね。断捨離の前にするべき事、考えてみました。

ゆっくり時間をかける事だけが、丁寧に生きると言う事ではありません。厳選した食材を使い、手間の入った食事を摂る事だけが、丹念な食生活とは言いません。叱らない子育てが思いやりの籠った育児ではないように、優先席を譲る事が老いた人への表敬ではない…

白い繭

息子達が泣くと、私もどうしてか胸がギュっと絞まって、泣き出したくなる事があります。感情のままに心を表す子供に気持ちをかき乱されるとか、イライラが募って来るというのとは、全く違います。 私の子等は、意志表現が澱みなく出来る方ではありません。む…

「ほ」の字見舞い

父が生きていた頃には、夏はよく桃が届きました。岡山県も山梨県も桃では有名ですが、私の故郷の和歌山県もブランド名が付くような桃が採れます。田舎から贈答用の桃が届く度、「娘に届けるのだから、別に値の張るものでなくてもいいのに」と返すのですが、…

500文字ブログ:お誕生日、”ありがとう”。

赤ちゃんは、多かれ少なかれ「魔物」です。 かつての私も母にとってはソレだったと思います。帝王切開で誕生した為、その異物感は殊更であったでしょう。半時間前までは、母体を急激に押し上げていた「何者か」が、次の瞬間に腹を食い破って(←イメージ)手…