食卓には小麦色の三日月
このパンが
クロワッサンと名付けられているのは
三日月の形をしているから、
というのは
よく知られているけれど
『メゾンカイザー』のCroissant
三日月と言うよりも
木の葉の形をしているじゃあないか、
なんて意地悪な指摘。
三日月型に曲げられているのも
たまに見かけるが、
あれに織り込まれているのは
バターではなくてマーガリンだ、
と言うのも実は一つの記号であったりする。
日本では
真っ直ぐであろうが
曲がっていようが
クロワッサンはクロワッサンで
その由来にオスマントルコ帝国が
関わっていたり、
ハプスブルグ家が
関わっていたり、
は、別に食事の時には
無粋だから
まあ、
省いてよかろう。
薄く折り重なったクラム。
パイのようには儚くない、
むっちりとした厚み。
オーブンで熱せられ
力強く持ち上がった無数の穴。
空洞に閉じ込められた油脂の香り。
三つ折りを三回繰り返し、
三角形に切り、伸ばして巻く。
織り込みパイ生地に発祥するらしい
贅沢で背徳的なこのパンに、
罪悪感を割り増す苺ジャムを添えて。
カフェオレはいかが。
ミルクティーはいかが。
優雅と思うのは
舶来の食べ物だからかしら。
香ばしい物に心躍る事は
朝のルーティンには
欠かせない。
始まりは
いつも
笑顔が良い。
いってきます、
いってらっしゃい、が
あらゆる幸せの要素で
囲まれているのが良い。
踊り出す心を作り出す
魔法の食卓。