あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

『あかりの森’s 「イクメン」事情』(※天然もののイクメンの皆様には甚だ不本意な記事であると思いますので、閲覧回避を強く強くお勧めします。)

 「こんなに価値観が違う人が、世の中にはいるのね」と、主人と連れ添ってから何度、遠い空を見上げたか分かりません。男女の違い、職種の違い、食物の好みの違い、嗜好品の好き嫌い、金銭感覚の隔たり、将来に対する展望の相違。合致するモノを探す方がむしろ難しいのではないかと思います。

 生い育ってきた文化圏も異なります。片や私は商人の町大阪で生まれ、和歌山で育ち、カカア天下で金銭に細かい風土が馴染んでいます。片や主人はバリバリの「肥後もっこす」、有言実行、寡黙で亭主関白の御父様が家長としてデンと構える生粋の熊本家庭で成長しました。

 私は下戸、両親も下戸。主人の家庭は全員が上戸(特に御父様)。結婚当初はもうそこからが諍いの種。夕食のおかずを私は「おかず」として作りますが、主人は「酒の肴」として認識しております。家族そろって食事をしたい私と、出来たてのおかずでさっさと晩酌を始めたい主人。外食の折でもそうですが、我が家では「家族全員分が出そろってからのいただきます」はした事がありません。また、家事は全般、妻の負担。仕事を持つ妻に対してもその態度は一貫しています。単純に稼ぎ出す給料の差なのか(確かに主人の収入は私の5倍はありますし)、主人の中で「そういうものだ」という価値観が根付いているのか。妊娠中も出産後も態度は大きく変化無しです。子供の夜泣きにも(長男の時)、よっぽどひどく泣き出さない限り主人は起きては来ませんでした。あまり泣かせると今度は「うるさい」と不機嫌になり私は叱られてしまいます。初めての育児で疲労困憊の中、何度、実家の親に深夜の電話をして泣き言をこぼしたか。夫婦喧嘩をする度に、毎度たたき起こされる両親もたまったものではなかったでしょうけれども。

 結婚は勢いでするもの。そううそぶいた人の気持ちは痛いほど解ります。家事全般そつなくこなし、子供の世話から奥様の心理的フォローまで、いったいどこのプロフェッショナルな家政婦さんですか、と言いたくなる男性が世の中にはごまんといますよね。私が家族ぐるみで親しくさせていただいているママ友達のご家庭でも見受けられます。多少語弊がありますが「明日奥様が単身海外出張に出かけたとして1年後帰宅してさえ、部屋も冷蔵庫も、何より子供達の健康状態も全く出かける前と変化なし」であろうと(勝手にこちらが)断言出来てしまうご家庭が存在します。何ですか、その「夢の国のおとぎ話は!?」という驚き。

 かく言う我が家、次男を出産する為に1週間、私が不在だっただけで、まずは洗濯物が何故かしわくちゃのまま積まれてあったり、リビングの床にうっすらホコリが積もってあったり、水回りが茶色くなっていたり、当時4歳だった長男が腸炎起こして発熱していたりしましたからね(食生活が大きいです)。いったいどんなドッキリなのだよと思いました。目を瞑って、次、開いた時には異空間に飛ばされていた、というまさしくSFのそれです。

 「やろうと思えば俺も出来る」。ふんぞり返った主人は私にそう豪語するのですけれど、残念ながら、彼の本気モードに結婚してから私はついぞ遭遇した事はありません。何しろ主人が「本気になる」のは、キャリーオーバー7億円のロト数字を的中させるよりも実現しづらい確率ですから。

 大人げない事を書かせていただくと、昨日も昨日とて、私は彼に対して心底、怒りがこみ上げておりました。価値観の違いだから、もう仕方ないのよ、えへへっなんて笑っていられないくらいには、ちょっと私は怒っておりました。ソファの上、一人、昼間、泣きました。悔しくて、腹が立って、子供みたいに声を上げて泣きました。

 発端は、主人が子供2人を連れて朝から外出した事にありました。「9時半くらいには連絡するからね」と言い残しての留守です。

 休日に主人が子供を連れ出してくれる事自体は、実にありがたいです。亭主関白ではありますが、子煩悩でもある主人です。だけれども、私は彼が子供達を遊びに連れ出してくれる動機に納得がいかない事が今まで多々ありました。彼の言い分はこうです。

 「俺が子供を外に連れ出している間に、貴方は心置きなく家の片付けが出来るでしょう」

 一見すれば、とても親切で思いやりのある「男前パパ風」のコメントです。

 「俺が子供を外に連れ出している」事に関しては、先にも述べた通り助かります。日々の雑務をこなすのには、ちっちゃい人の存在は少し煩わしくもありますから。けれど、ひっかかったのは以下です。

 「貴方は心置きなく家の片付けが出来るでしょう」

 違和感はこの後半でした。お気付きでしょうか。リピート・ワンモワ。

 「貴方は、心置きなく、家の片付けが、出来るでしょう」

 お解りでしょうか。

 「家の片付けが出来るでしょう」

 これです。ここ、赤線です。

 子供達が留守の間に、私がしなくてはならない事が、何故、どうして「家の片付け」なのでしょうか。言っておきますが、私の心はミニマムです。他人様が引くくらいには、せこいです。かなり、コンパクトな人間です。

 まさか、主人に対して「私が子供達を連れて留守の間に、残った家事を片付けておいて」とは言いません。彼もそう任されたからと言って素直に納得はしないでしょうし、出来る出来ないは別にしても、断固として手は出さないでしょう。それはこの際、良いのです。ですが、この彼の認識が、私にはとてもとてもその時、辛かったのです。私の手伝いをお願いして家事のスピードアップを図り、家族一緒に出かけられたら最高でした。そう、それこそ100点満点の対応ですね。例え、そう出来ないまでも、せめて私を待っていてほしかったのです。

 私にも月曜日から土曜日までの仕事があります。平穏無事に過ごしているとは言え、育児休業中に休養を取っていた頃と、煩雑さは比べものになりません。それでもこの1週間を頑張れば、子供達とめいっぱい遊べるという「ご褒美のような楽しみ」を胸に抱いて毎日を過ごしているのです。多くの家事が、こなしていくだけで精一杯の平日では必要最低限しか出来ません。この「必要最低限」でさえ、やりきれなくて週末に持ち越す事さえあります。ですから好きこのんで、誰がせっかくの日曜日に溜まった家事に専念したいと言うのでしょうか。出来れば効率的に片付けて、さっさと子供達と普段取れなかったスキンシップを取りたいと思うのが親の心情ではないでしょうか。

 と言うものであるのに。

 一通りの家事が片付いても、主人と子供は外出したきり、昼を過ぎても帰って来てはくれませんでした。電話をしても「今、温泉入ってるんだ」とのんきな答え。「今から貴方もここにくればいいよ」と簡単に言ってくれます。家からバスに乗り、最寄りの駅まで行って特急に乗り換えて1時間もかかる日帰り温泉宿です。私が到着する頃には、もう帰宅する時間になってしまいます。どこへ出かけるとも言い残してくれず、しかもこちらが尋ねてから初めて今いる場所を報告するとは。

 「何のために私、一生懸命時間を作って日曜の朝早くから家事をこなしていたんだろう」

 もうそう頭によぎってしまったら、急に両目が熱くなってきてしまいました。

 電話を切った途端に、力が抜けてしまって、涙が止まらなくなってしまったのでした。

 けれど、よくよく考えてみれば、そういう私の感情も「我欲」なのだと思います。冷静になれば解る事です。私が泣いたのは、単に「私の為」でした。子供達は父親に遠出に連れて行ってもらって、楽しい休日を満喫出来ているのです。それで正解なのではないかと思うのです。私も満足、主人も満足、子供も満足、理想はそうであるのでしょうけれど、主人も彼なりに良かれと思って精一杯してくれた事だと思います。結果、子供達は喜びましたし、充実した時間を過ごせました。腹いせという訳ではありませんが、私も泣きながら大がかりな家族の衣更えを達成する事が出来ました。ビジネス用語だと「Win-Win」というやつでしょうか。

 だけれど、一言言って良いですか。

 全部を総括して良しとするこの一つの出来事に、もの申して良いですか。

 では、関西弁で失礼します。

 「うちだって、子供等と一緒におりたいねん。勘違いせんといて、ちょっとは手伝いーや。大概にしとかんとドタマにグーパンチくらわすからな、このドアホ!」

 

 以上、現場からの中継でした。