あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

コント「もしも、醜いアヒルの子が子育てをしたら」

 「みっともないからやめなさい」というのは至極まっとうな注意の仕方だと思います。ただ、これは誰にも迷惑を掛けていない幼い子供の戯れに対して、見栄を張りたいだけの保護者が口にするのは適切ではないのではないでしょうか。

 車道沿いの田舎道を、13歳の私と11歳の弟が母に連れられて歩いていました。散歩に出たついでであったのか、あるいはどこかへ向かっていたのかは忘れてしまいました。弟が、拍子を取りながら飛び跳ねるように大股で道を横切る遊びを始めました。それが余りにも面白そうだったので私も彼の後に続いて、横っ飛びしながら道を進みました。その私に対して母は険しい表情で叱責しました。「みっともないからやめなさい」。当時の私は何故母が急に声を荒げたのか解りませんでした。弟は構わずドンドン先を進んでいきます。一度立ち止まった私も、愉快な彼の仕草に触発されて再び横っ飛びを繰り返しました。すると母は更に強い口調で「常識の無い子だね」と私の腕を引き掴みました。注意されたのは私だけ。本人に確かめた訳ではないので真実は解りませんが、想像するに、その時の私は母が理想とする「女の子」の姿からは程遠い行動をしていたのだと思います。ケタケタと大口を開けて笑ったりはしない、男の子と同じような激しい遊びに興じない、少し伏し目がちの、背筋がシャンと伸びたような女の子の姿から、当時の私はかけ離れてしまっていたのだと思います。

 私には娘がいません。ですから、娘を持つ母の想いは憶測でしか判断出来ません。ただ、そうであっても、子を持つ者として感じる事は「みっともない」というのは誰に対して使われる言葉なのか、を意識した方がいいだろうという事です。見苦しい行動をした当事者である子供が人様の気持ちを害するのであれば、これは親として細やかにフォローすべき事でしょう。しかし単に「私は優れた躾をしている親だ」という親自身の虚栄心を守る為の行動であるのなら、これは危ぶまなければならない事ではないでしょうか。安易に口にしてしまう「貴方の為を思って」。でも時にそれは非常な「おためごかし」に成り下がってしまうケースもあるのではないでしょうかね。

 外聞をとても気にする人であった母。彼女も彼女なりに手探りの子育てで苦労してきた事であろうと思います。今更、それに恨みを言うつもりはありません。

 ひたすらに、これは至らぬ私への戒めなのであります。

 

 

(1000文字雑記)