玄関先が 明るく照り返していた。 ドアを開けると 冷気が吹き込んだ。 足元から上る 張り詰めた気流に 白い息を丸く吐いた。 結晶の形をしたまま 降り積もり 降り積もり 音を吸い込みながら 景色はいよいよ明るくなる。 新雪を眺め渡した時 人が自然と口をつ…

カメラを向けて はいポーズ、すると 反射的にピースサイン。 これが毎度だと、 シンプル過ぎる絵面になる。 「ピース以外の面白い事やってよ」 なんていう関西人の母からのリクエストで 君は、工夫を凝らしていろんな自分を 演じてくれるようになった。 その…

与えられた物を 満遍なく吸収する次男。 その次男にちやほやされて 有頂天になる長男。 お兄ちゃんは「かっこよくて何でも出来る スーパースター」という認識の次男。 弟は「次々真似して後を付いて回って 俺が見てやらないと困っちゃう」という認識の長男。…

一匙すくって こわごわ運んだ。 私を見つめる つやつやした真っ黒い瞳。 ぽってり開いた待ちぼうけの唇。 初めての供物は 磨り潰したドロドロの粥。 この世に誕生して まだ半年にも満たない儚い命に 最初の実りを捧げた日。 人でも神でもない 幼いモノが 少…