二人分の等価交換
甘いものと、苦いもの。
幸せな事と、悲しい事。
大地に注ぐ水と、空へと還る水。
私達を取り巻く全てのものは、
ある一定量と決まっている。
健やかなる事も、
病める事も、
たぶん、生涯に定められた量だけ、
与えられるんだと思う。
いただいた分だけ、使えるし、
減った分は補充しなければいけない。
たくさん泣いたら、
お昼寝をいっぱいしよう。
お手伝いを頑張ったら、
大好きな鉄道公園に連れていって
もらおう。
私が頑張った分、
君達が幸せになるのなら、
それもきっと等価交換だ。
君達の泉がどうしようもない事で
いっぱいになったら、私の泉へ
注ぐといい。
思いがけない痛みに背を丸める時は
その傷の全てを私が引き取ろう。
そうして逞しく育った君達が、
誰かの嘆きを受け止められる人達
になれたなら、それこそが、きっと
本当に素敵な等価交換なんだ。