手袋検定
いつから
私は
日常の身支度に
不便を感じなくなったんだろう。
外出する時の
コートのボタン。
風が強い日の帽子。
手回り品を詰めた
リュックサック。
想いのままに
まさぐり、掻き寄せ、摘み、操る。
そうしようと考えた時には、すでに出来てる。
当然それは、最初、誰かに方法を
教えてもらったのだけれど、
改めて今、その一つ一つの動作を
コマ送りにして解説しようとすると
ちょっと面倒で、同時に解り易い
言葉で伝えにくいような感じがするのは
どうしてなんだろう。
手袋だって、
とてもシンプルな被服だけど、
親指の場所に親指を入れるのって
実はとっても難しいんだ。
人さし指さんのお部屋に、
なんで中指さんまで入ってきちゃうのかな。
小指さんのお部屋は、
なんでいつも小指さんがお留守なのかな。
自分の手袋。自分の指。
なのにね。
何度やっても、指がお部屋に入りたがらない。
本当に、嫌になっちゃう。
もたもたしてるとお母さんはじれったそうだし、
保育園に行く時間には遅れそうになる。
手強い手袋だけど、
何とか今日は一人で出来たよ。
最初は指があっちこっちしたけど、
ほら、見て!
この手袋検定も、
いつか卒業し、また新しい課題に向かい合い
私はやはりまた、
じれったそうに気長に、
君の成功を見守るのだろう。