君にごめん。
君に
ごめん。
分からず屋のお母さんに向かって
一生懸命、訴える君。
抱き締めなくて、ごめん。
慰めなくて、ごめん。
君のお母さんは
鬼のように
悪い人です。
笑っている君も
泣いている君も
全部を記憶に留めたくて
焼き付けてばかりいます。
寸分違わぬ、
色も声も形も、
貪るように胸に仕舞っておきたい。
強欲で恥知らず。
およそ、君のお母さんは
そういう人です。
心が、
カメラのようであればいいのに。
この眼が、
シャッターのようであればいいのに。
君を抱き上げて
頬擦りし、
子守唄を歌いながら
カメラを向けられるよう
何故、
腕が4本無いのだろう。
泣いている君。
泣かせている私。
愛情なんて
嘘っぱち。
忘れたくない。
忘れたくない。
小さい君。
温かい君。
全部。
全部。
君のお母さんは
世の中で
一番冷たい人です。
君達を想う以外
何一つ出来ない、
愚かな人です。