餅花のうのう。
実に晴れやかな
餅花を観た。
昼食をいただきに上がった
お店の玄関であった。
天井から
流れ下るばかりの
紅白の滝である。
小さい頃から
年末の正月飾りを目にすると
何故か嬉しい気持ちになる私だったが、
大振りの柳の枝に、
丁寧に結びつけられた本物の餅花を
こうして眺めたのは初めてであった。
上がり框の沓脱の側には
松と菊が南天の赤い実と共に
大きな壺へ活けられている。
正月が来るのだ。
我が家の小さな門には
我が家のサイズのささやかなコトブキが。
大きな御屋敷には
それにふさわしい厳かなコトブキが。
小さくても
重畳、重畳。
大きくても
重畳、重畳。
膝を揃えて、
家族みんなで、
お正月をお迎えする。
不足なく不服なく
凡庸であれ、阿保らしくあれ、
笑って笑って腹が膨れて
蕎麦をすすって
餅食って
健やか呑気の
年もがな。