母を終わる時間
別室から
低く規則正しい
主人のいびきが聞こえる。
温かい布団の中で
子供達も父親に寄り添って
夢の中をさまよっている。
夜中の12時をいくらか過ぎて
私はリビングに一人
今日ようやくの
自分の時間を持つ。
いや、
「今日」と書いたが
もう日付を跨いでいるので
深夜、とするのが
良いのだろうな。
正月休みの主人の助太刀があっても
子供二人との真剣勝負は
こちらにだいぶ分が悪い。
満身創痍で夜を迎え、
決死の覚悟で朝日に向かう。
こんなドタバタ劇も
振り返れば一瞬の出来事なのだろうけれど
まだまだ、
「あの頃は良かったわね」
と甘い溜息を吐ける折り返し地点に
私は到達していない。
今日一日を無事終えられた。
眠りに着く前のしばらくの憩いを
つらつらと思うままに
思い巡らせ、書き綴り。
ああ、今日も座ってご飯、食べられなかったな、
とかね。
おやおや、
次男の夜泣きの声。
安眠型の主人は起きない。
束の間の
「誰の物でもない自分」は
一旦停止。
母を終わる時間は
まだ少し
後のようだ。