大人びてアンニュイ
一緒にお風呂に入ろうかと誘っても
「(僕は)男の子だから」と
連敗中の母である。
抱き締めれば
あちこちごつごつしていて
擦り寄せたほっぺたばかりが
幼い頃の柔らかさを保っている。
平たい胸板には
薄い皮膚に覆われた硬い骨の起伏。
くびれのない腰には
甲殻類のようなガッチリした重心。
線引きは
いつの間にか
君の方から申し入れがあったので
私はそこに同意のハンコを押すだけで。
私は
血と肉と骨だけを
こねて、貼り付けて、満たして、渡した。
それを
育てて、鍛えて、試して、使いこなしているのは
間違いなく
君だ。
それは、
ちゃんと、もう
君のものだから、
私はすでに、
どうこうする事も出来ないし
どうこう言うのも厚かましい事だ。
納品日に間に合わせた特注品を
君はしっかり受け取った。
頑張って、これから
そいつをヴィンテージ物に
仕上げて欲しい。
使い込まれて良い光沢を放つ
最高の君に
なってくれよな。