邪魔な身体
仮に
こんな身体がなければ
もっと解り合えるのに、と
思う事がある。
全部を切り開いて
教える事が出来るのなら
いかほど傷付かないか、と。
柔らかく
無駄な
丈夫な壁が
私達をいたずらに
隔てているのだ。
覗き見る
わずかな隙間から
手に取るように貴方が
悲しんでいるが分かるというのに
互いの身体が
執拗に二人を区別して
ひりひりと痛みを塗りつけていく。
横暴な自由が
楽し気に窓の外を明るませている。
私は黙って貴方の手を取り、
深く息を吐いて
足を踏み出す。
私が発する
不穏な余波を指先に感じて、
貴方は苦しくきしみ、
動き出す。
そんな顔をさせたいんじゃない。
邪魔な身体だ。