黄色い小人、雪道を行く。
ギチリギチリ
踏みしめた雪は
片栗粉を揉んだような音。
踏み固められて凍った道に
黄色い小人の青い影。
時折、吹き過ぎる北風が
枝の雪を払い飛ばし
空へ舞い上がる粉雪は
光る砂粒。
壁際に寄せられた雪山。
足元を流れるのは氷河。
ツルツルして危ないから
気を付けてね。
固い永久凍土を引っ掻いて進む
鎖の音が近づいて来た。
力強くエンジンを響かせて、
大きな鉄の塊が横を通る。
坂道、大丈夫かな、なんて
心配しながら、
豪勢に吐き出される真っ白い蒸気を
小人は見送る。
保育園への三差路。
白と黒と、
黄色い小人。
霜柱を踏んで遊んだ雑木林も
今日はすっかり雪の原。
長靴の下で潰れる積雪を
確かめ君は歩いていたけど、
照れ臭そうに笑ったのは、
冒険の終わりを知ってたからかな。
温かい太陽に炙られて
この雪の世界は終わるけれど
またすぐ新しい冒険が
君を訪ねてやって来る。
冬が過ぎて
春が来て、
小さくなった長靴を脱ぐ時、
どんな喜びが君を手招きするのか。
季節を旅する探検者。
保育園へと駆け出す君。
ギチリギチリ、
名残惜しく雪を踏みしめ、
私は君の後を追った。