あなたがすきです。
お母さんと
一緒に居られなくて
泣き出すなんて
君はどれほど
人たらしなんだ。
「お母さんの事、大好きな人っ!」
「はーい!」
ピンと伸ばした腕に、
こっちの方が恥ずかしくなる。
(私が問い掛けて置きながら)
大人って
本当に頭でっかちだよなあ。
好きな人に好きって言えなかったり、
賢くも無い理屈で理論武装したり。
時には、
私がこんなに好きなんだから、と
下品にも対価を求めたり、
好意でしてあげた事にまで後出しで
付加価値を付けたりして。
君の「好き」は
そこに「ある」だけ。
奈良の大仏様のように
ドーンとでっかく構えているだけ。
何物でもない「好き」。
好き「だから」じゃなく、
好き「なのに」でもなく、
ただ
つるりんと、突きたての餅が
湯気の中で眠っているみたいな
「好き」。
太刀打ちできるはず、
ないじゃないか。
そうだろう?