あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

大きくなったら、それからね。

「お母さん、死ぬの?」

と、君に訊かれて

ちょっと考えて、

「そうだよ」

と、答えた。

 

5歳の君には

人の生き死には難し過ぎるのかも

知れないけれど。

 

「ちっちゃくなって、ちっちゃくなって

おじいちゃんのとこに行って一緒に暮らすの?」

と、嬉しそうに君が言うので

またちょっと考えて、

「そうだよ、一緒に暮らすんだよ」

と、答えた。

 

5歳の君は

安心したように笑って

明日のご飯、何食べようと

ワクワクしているような口調で

「そうなの?」と首を傾げる。

 

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「おじいちゃんの所に行ったら

お母さんも寂しくないでしょ?」

と、私が訊き返すと、

「じゃあ、僕は?」

と、目を輝かせるので

「おっきくおっきくなるんだよ」

と手を握ってやる。

少し瞬きをして、君は

「そしたらさあ、それからさあ、

お父さんもお母さんも僕もおじいちゃんも

おっきくおっきくなるんだよ」

と、何かの悪巧みを考え付いたみたいに

こそこそと耳打ちをしてくれた。

 

君の世界では

誰も

「終わらない」。

ゆで卵みたいにつるんと殻を脱いで

ピカピカと

新しい自分に生まれ直すんだ。

君の心に育った蝶は

羽ばたいて飛び去って行っても

再び青虫に生まれ変わる。

 

くるくると繰り返す、

生まれたての命が

どうか、

君の中で

輝き続けますように。

 

「死」が君の純粋を

裏切る日が来ませんように。

 

生まれて

死ぬことが

君を取り巻く世界の

穏やかな掟でありますように。

 

母は

まだ

君に

「死」を紐解いて見せる勇気が

ありません。

けれどいつか

その日が来たら、

母は、

最期に一つだけでも

幸福の種を残して逝きたいと思います。

 

君の涙が

君を責めませんように。

君の後悔が

君を傷つけませんように。

君の苦しみを

母はお腹に仕舞って

旅立ちたいです。

生まれようとした君の苦痛を

あの日、母が陣痛として

分かち合ったように。

 

 

大切な君へ。

 

母より。