あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

悪い冗談

今時流行らない亭主関白と

古風と気まぐれと一途を

執念深く鍋で煮詰めて、

冷やして煮こごらせて、

作ったような九州男児

夫。

 

仕事の弱音など聞いた事もなければ

台所に立ち入った事もない。

 

腹が減った、と一言呟けば、

食膳が整えられて、

風呂は?と呼び掛ければ、

適温の湯船が用意される。

 

長男が誕生した時も、

過密な仕事に掛かり切り、

次男を授かった時も、

首が据わるまで風呂に

入れた事もない。

 

そんな夫。

 

リビングで遊ぶ

長男と次男は

もう、5歳と1歳。

一人前に兄弟喧嘩を覚え、

一人前に拗ねて見せもする。

 

食事を終えた夫に向かい、

私は悪い冗談を言ってみる。

 

「貴方が1カ月、

身体を壊して寝込んでも、

何とかなるけど、

私が1カ月、

身体を壊して寝込んだとしたら、

何ともならないわね」

 

いつもなら、

馬鹿馬鹿しいとか、

うるさいとか、

鼻で笑うとか、

最初から私の冗談なんて

相手にしない夫。

 

夫が

「御馳走様」を言うのは

「この空になった器を下げろ」という意味。

台所に立ち入らない彼には

食べた物を片付ける義務は

無いのだもの。

 

悪い冗談を言った私は、

夫の「御馳走様」を聞き届け、

彼のお盆を下げる為に、

テーブルに歩み寄った。

 

夫は

馬鹿馬鹿しい事には

反論しない。

夫は

うるさい事は

嫌いだ。

夫は

鼻で笑って

些末な物事を相手にしない。

 

だから

私は

驚いたのだ。

 

「上の子だけなら何とかなるが」

 

気弱な貴方の呟きに。

 

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私は

悪い冗談を言った。

 

私が居なくても大丈夫、

なんて、

決めつけてたから

あんな悪い冗談が言えたのだろう。

 

夫は私の顔を見ない。

リビングで楽しそうに遊ぶ

二人の兄弟を眺めている。

 

私は

時を経て

変わりゆく夫の心を

その時知った。

私は

自分が何者であるのかを

改めて知った。

 

夫は

優しい横顔で

愛おしい自分らの子を

眺めている。

 

私は

悪い冗談を

言ってしまった。