あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

おやおや、お客さん、悩みごとですか?

占い師になりたいと言ったら

主人の細い目が、精一杯見開かれた後に

「何言ってんの?」

腹からの呆れた声が返って来た。

いや、例えばの話だよ、なんて

例え話でごまかして

自分の傷心を隠してみた。

 

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職業に貴賤なし、と言い習わすけれど、

やっぱり不安定な職業は歓迎されないらしい。

40歳子持ちが今から志す道では

ましてないらしい。

 

そういう私もどこかで実感していて

そりゃあそうだよな、と、

再び家事をする手を動かした。

 

大学を卒業して出版業界へ。

体調を崩して道半ばで退職。

実家暮らしの中でパン屋のアルバイト。

その後は製パンの専門学校へ通い、

縁があって、専門学校職員になり、

家庭を持って転居し、

子供を授かり、2度目の転職。

働く母として何度目かの春を迎え、

2人目の命を宿して、今に至る。

まだ始まった半生は10行足らずの

薄っぺらいものだ。

勿論、行間に折りたたまれたものは

酸っぱいものから甘いものまで

色んな味のごった煮である。

 

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たくさんの交差点や一方通行、

舗装された道路や砂利道。

そこには絶えず人々が往来し、

私をけつまずかせ、抱き起し、

励まし歩かせ、また突き飛ばし、

先を急がせ、導いて、教え諭して、

伴走して。

 

春の宵は

あらゆるものの百鬼夜行

繰り広げられてきた出来事と

浮かび広がって来た感情との

交通渋滞。

 

先行きは不透明だから、

希望もあり不安もある。

占い師が腕を振るうのは

そういう脇道の暗がりと

相場が決まっている。

 

私には、

誰かの指針になるようなアドバイス

出来ないだろうし、

苦労話の相槌も上手に打てないだろう。

人の神経を逆撫でし、

日銭でさえ物に出来かねる。

 

膝元に寄りたかってくる子供達の

温かい手の平に慰められながら、

春の気配でフワフワになった

柔らかい夕方の空気を弄んでみた。

 

「お母さん、駆けっこしよう」

挑戦状を押し付けてくる君の方が

よっぽど上手に相手の気持ちを

盛り上げるよね。

職業に、貴賤、なし。

 

占い師にも

カウンセラーにも

成り損ねた母は、

持てる力を出し切って

春の道を

駆け抜ける。