あかりの森の研究者

「勉強しなさい」なんて

言う日が来るのかしら。

「忘れ物はないの、大丈夫？」なんて

お節介を焼く日が来るのかしら。

君の情熱を

疑う日が来てしまうのかしら。

君が

心の底から「面白い」と思う事を

「人生の何の役にたつの、お止めなさい」なんて

立ち塞がって押しとどめる日が

来ないと言い切れるかしら。

君の見つめる先を

同じように「面白い」と見守っている私が

いつの日か別人になったようになって

「そっちじゃあない、こっちになさい」なんて

嫌がる手を引いて連れて行こうとするのかしら。

君はきっと君のままなのに

君のままでいる君を

我慢ならないと思ってしまう私が

いつかやって来るのかしら。

面白い事を

一緒になって面白がっていた私が

ある日、それを

面白いと言わなくなってしまったら、

君はどんな顔をするのかしら。

君は困った顔をして

それでも

私を受け入れようとするのかしら。

君は悲しい顔をして

そうして

私から去っていくのかしら。

君は眉を険しく立てて

それから

私へ怒りをぶつけるのかしら。

変わっていく母親を

君は

大好きでいようとするのかしら。

変わらないというのは

とても難しい。

変わる私に

君が落胆する時、

変わりゆく私を

変わりゆく私は

どのように結論付けるのだろうか。

何度も

何度も

思い出そう。

君の情熱に満ちたその視線の先。

君の手が探し求めてきた

生きる術の全部。