記録と記憶の間には。
たくさんの写真を
撮り溜めてきた。
主人が結婚前に持っていた
一眼レフカメラを譲り受けて
それからずっと。
子供が生まれてからは
彼等が初めてこの世で
自分自身で息をし始めた日から
1歳の誕生日を迎える日までを
欠かさず撮ろうと思ってきた。
(勿論、何日かは抜けたけど)
日めくりカレンダーに作り直してみたら
結構、面白いものになるんじゃあないかな、と
私は密かに思っている。
なにも
頑張って続けるつもりはなかったけれど、
結果的には飽きもせず懲りもせず
今となっては時代遅れの
重い一眼レフを抱えて
あちらこちらと
動き回る二人の子を、よくも
追いかけ回してきたものだと思う。
いずれの日も
横並びにすればとても似通っていて
一日くらい撮影をさぼっても
大差ないように見える。
なのに、
ノートの端に先生の目を盗んで書き溜めた
パラパラ漫画みたいに飛ばし見してみると
不思議に心にひっかかるものが
見つかるのだ。
小さい人が
寝返りを打てるようになったころ
大きい方の人は
よく腹這いになって
見守っていたなあ、とか。
大きい人と
同じものを追いかける小さい方の人が
解らないながらも
目の前を行き交うあらゆる事を
瞬きも忘れて眺めていたなあ、とか。
残像よりも鮮やかに
記憶よりもあやふやに
その時の色
その時の眼差し
その時のドキドキ
その時のかけがえのなさ。
カメラのレンズは
到底、私達の瞳には及ばないけれど。
到底、私達の心には及ばないけれど。
なぞるように記録をたどると
やっぱりそこには
我が家の「アルバム」。