あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

旅人の心得

楽しい何かがあったから

幾つもの扉を開けて来たんじゃあなかったのかな。

 

赤ちゃんの頃の貴方は

きっとそうだったでしょう。

楽しいと思ったから

キッチンの戸棚を開けて回った。

楽しいと思ったから

ゴミ箱からゴミを拾った。

楽しいと思ったから

畳まれた洗濯物の上に腹這いになった。

 

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イイかワルイか

そんなのは後回しで

とにかく楽しい事を探して歩いた。

 

人の事をいいなぁと思ったら

真似をしようとした。

人の事を羨ましいなぁと思ったら

その人に何でも訊こうとした。

 

いいなぁと思って

指をくわえて妬んだり

羨ましいなぁと思って

あえて遠巻きにしたりなんて

子供の頃の貴方はきっとしなかったよね。

 

楽しさから距離を置き始めたのは

貴方が分別をわきまえたからではなくて

とてつもなく面倒臭がりになって

傷付くのに飽き飽きして

もう、

扉を開けるのなんてまっぴらだ、と

結論付けてしまったからなんですよね。

 

確かに、

目の前の閉じられた扉の向こうには

何が潜んでいるのかは分からない。

幼い頃見つけた、

使い古しのフライパンや

分けられたプラスチックゴミや

カラフルな洗濯物ではないかも知れない。

だけれども、

開かない扉の前に座り込んで

物分かり良く次の列車を待っているなんて

なんだか、

「何にも終われない」可哀相な人みたいじゃあ

ありませんかね。

 

一か八かの賭けをするのは

賢いやり方ではないかも知れないけれど

息苦しい自分に理由づけばかりしているよりは

とてもきれいな戦い方をしていると思うんです。

 

これが楽しいからこうしてごらん、なんて

赤ちゃんだった頃の貴方は大勢の大人に勧められたけれど

結局、貴方が一番喜んだのは、

大勢の大人が眉間に皺を寄せるような

「ちょっと困った遊び」じゃなかったかしら。

 

与えらえれる楽しさなんて

実は無尽蔵じゃないんです。

期限付きの制約付きの

既製品の便利さを詰め込んだお手頃な物なんです。

 

決して知らない訳じゃない。

貴方は忘れているだけ。

楽しさの種。

楽しさの花。

どこかに仕舞い込んでしまったらしい

原石のようなモノ。

 

旅支度ばかり整えるのはやめましょう。

道はもうあるじゃないですか。

どんなに準備万端にあつらえたところで

装備は冒険の最中にボロボロになる。

お尻のポケットに突っこめるだけの必需品を持ったら

もう歩き出しちゃえばいいんです。

買い足したいものがあるのなら

この先の店で買いましょう。

手に入れる程の元手がないなら

しばらくそこで働けばいいじゃありませんか。

畑仕事なんかしながら、

大家さんと仲良くなればいい。

昼休憩に子供の頭ほどもある大きな握り飯を頬張りながら

自分の身の上話をすればいい。

 

楽しい何かを探す前に、

楽しい何かになってしまえばいいんですよね、

自分が。