風、光る。
はっとするんだよ。
別に
大人になったからって
手加減をして暮らしている訳ではないんだけれど。
気付かない事、
見落としている事、
おざなりにしてしまっている事。
随分、私は
ぬけぬけと生きているんだな、とね。
当たり前でない事を
当たり前にしようと
それこそ無我夢中で
手を伸ばす君が、
当たり前の事を
当たり前にさえ出来ない
不甲斐無い母に
我慢強く教えてくれている。
こうやって歩くんだよ。
こうやって泣くんだよ。
こうやって生きるんだよ。
ほら、
ねえ、
人ってね、
こんなに面白いものなんだよ。
君のちっちゃな手で掴む世界は
強い風にふらりふらりと揺れている
白いハナミズキのように
美しい。