あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

朝のおつとめ

 研いだように清々しい朝の気配があります。

 遅い日の出を待ちかねて、目覚めたままに重い鎧戸を開けます。周囲はまだ浅い眠りの中。穏やかで厳粛な、洗い上がったばかりの風が小さな我が家の部屋という部屋に行き渡ります。

 新居に引っ越して半月。私の日課は30分から1時間程度の朝の掃除から始まります。我ながら「禅寺の修行のようだ」と密かに笑いつつ、一晩でしっとりと湿り気を帯びてしまった部屋という部屋を開放していくのです。幼い子供が2人もいては日頃まとまった掃除など出来ません。まして、日中働きに出ている身では、わずかばかりの帰宅後の時間もほとんどが子供の世話に追われてしまいます。

 金は貯まらぬのに、ホコリは溜まる。実家の母と、時々笑い合っていたのを思い出します。特に水回りは汚れがちです。手洗い場はもとより、炊事場、風呂、トイレ。汚れを落とす場所だからこそ、飛び散った汚れは蓄積される気がします。「掃除」がそもそも好きなのではありません。「汚れるに任せている」のが私は好きではないのです。恐らく潔癖という枠にも当てはまらないでしょう。ダラダラと自堕落に贅沢な時間を過ごすのも大好きですから。

 明けやらぬ、薄明の頃。音を立てぬように拭き掃除を始めます。ただ、黙々と、無心になって。家事というのは手慣れてしまえば、機械的な作業の繰り返しです。面白いもので、体が覚えているもの、手が覚えているものをこなす時、心は妙に静かです。一通りの、一連の運動の中に、自分を遮るものはありません。まだ眠っている子供の寝具の周り、畳の目に沿って布巾を滑らせます。それから洋間の床、それが終わればキッチン、そして脱衣所を含む浴室周り、トイレ。最後に玄関まで拭き終わって、玄関扉を開けます。今日履いていく靴だけが並んだ玄関から、私の靴、子供の靴、と表に運び出し、小ぶりの箒で玄関先を掃き清めます。箒を元の場所に収める頃に、東の端でくすぶっていた太陽が、やっと気だるげに顔を出します。砂埃が舞わぬよう、打ち水をし、ついでに趣味で育てているシダやモミジの苗に水をやります。

 早起きの次男が物音でごそごそと寝床を這い出してくるのはこの頃。寝付きの良い長男は、心地よくぬくもった寝床の中。

 玄関扉を閉め、眠い目をこすっている次男を抱き上げ台所に向かうと私達の朝が動き出します。

 鉄瓶で湯を沸かし、洗濯機を回し、ことりことりと「我が家」が動き出します。

 

 

(1000文字雑記)