あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

兄と弟のブルース

 「お兄ちゃんだから」と言う言い方が好きではありません。先日6歳の誕生日を迎えた長男はいよいよ来年春には小学校に上がります。4歳差(学年で言うと3学年違い)の弟と、兄弟喧嘩も激しくなってきました。まだ取っ組み合いの武術大会のようにはなっていませんが、叩いたり叩かれたり、押したり押されたりを毎日のように繰り返しています。

 母の立ち位置は「通りかかったおばさん」です。戦いが激しければ仲裁に入りますが、ちょっとしたいざこざであれば本人同士でやりたいところまでやらせています。その内、9割方、弟が泣かされて負けるので、泣きついてきた弟を連れて勝者である兄に、事情を聴きに向かい合うという流れです。

 私自身は「姉」でした。古いしきたりが残る村ではまだまだ男が家系を継いでいきます。2つ違いで生まれた弟は殊に周囲から可愛がられ、下にも置かぬ扱いを受けて育ちました。兄弟の中では女は確かに華やかで愛おしい者と位置づけられておりましたが、家系的には男子は別格です。弟が泣けば、姉が責められるという、現代社会ではちょっと理不尽な家庭で過ごした経験があります。そういうことも身に染みてあるのでしょう、私は「兄だから我慢しなさい」「上だから下に譲りなさい」という言葉を長男に投げかけるのを避けるようになりました。他の兄弟よりも先に生まれたのは、彼の仕業ではありません。なのに「お兄ちゃんだから」の一言で全部をひっくるめるのは、大人サイドの都合を押しつけるようで余り好きにはなれませんでした。

 「貴方は力が強いので、弱い者を大切にして下さい」「貴方が今困っていないのなら、困っている人を助けられるよね」。そのような事の方が、よっぽど子供達は納得するのではないかしら、と考えました。

 長男が更に5年分成長すれば、次男も同じように5年分大きくなります。だからと言って、年経た分だけ、こちらが弟にも兄同様の大人扱いをするでしょうか。兄弟喧嘩が起こった時、やはり幼い頃と同様「お兄ちゃんだから」と辛抱させられる長男がいるのは母としてかわいそうな気がするのです。我慢させられるのは、辛抱しなければいけないのは、自分よりも「立場の弱い者」が近くに居るときだけです。「兄」という揺るがしがたい刻印の為ではあってはならないのだと、そう思うのです。

 弟にも確かに弟の辛さは存在することでしょう。兄にも兄の、弟にも弟の哀愁漂う宿命があるのでしょうね。

 

 

(1000文字雑記)