500文字ブログ:お誕生日、”ありがとう”。
赤ちゃんは、多かれ少なかれ「魔物」です。
かつての私も母にとってはソレだったと思います。帝王切開で誕生した為、その異物感は殊更であったでしょう。半時間前までは、母体を急激に押し上げていた「何者か」が、次の瞬間に腹を食い破って(←イメージ)手術室の無影灯の煌々とした光の中で、赤黒い姿でうねっている様はかなりインパクトがあります。
「可愛いなんてこれっぽっちも思わなかったわよ」とは実の娘に随分な言い方だと思いますが、納得です。何しろ、経腟分娩で安産であった私ですら、自分がひり出した(←言い方)異物(←更なる言い方)を「おめでとうございます」と抱っこさせられた時、「何コレ」と固まってしまったくらいですから。
そして入院中の手厚い看護から離れ、自宅に還って来た時の心細さはひとしおです。産湯を使うのも必死です。溺れさせたらどうしよう、風邪を引かせたら大変、そんな事ばかりに追い詰められて真冬なのに私一人が汗だくです。自身の骨盤がグラグラしていてまだ出血している非常事態です。「我が子可愛さ」だけでは乗り切れません。何の天罰か、と本気で泣きました。
お母さん、産んでくれてありがとう。そんな私も今はかーちゃん。