５００文字ブログ：還る場所、を考える。

　予算の目途が立った途端、目的であった大きな買い物に躊躇する事があります。

　「東京に家を建てる」と燃えていた私は、いったいどこへ行ったのでしょう。別居していても、たまに会っている主人と今までも様々な話をしてきました。持ち家を確保する事についてもそうです。

　主人は賃貸派、私は持ち家派。これは揺るがない主張でした、今までは。

　子供が小さい内、ご近所さまに迷惑をかけるシーンは多いです。賃貸であればなおさらです。実は、現在、我が家は階下の御夫婦と余り良い関係にはありません。１階にお住まいの年配夫婦は、以前、我が家にとても朗らかに接して下さっていました。しかし、悲しい安普請住まいです。薄い壁、薄い床を伝って響く連日の物音は、やはり気に障らないわけはありません。

　ああ、我が家が欲しい、その願いは切実になりました。独り身では身軽な賃貸暮らしでも子がいれば変わります。

　でも、ふと、気付いてしまったのです。子も大きくなる、必要なスペースもその都度違って来る、彼等が巣立つ頃には、私は養老院へ入居しなくてはならない、その時、持ち家を売る手間は誰が負うのか、と。

　たらればの話はキリがないです。あれもこれもと、欲深い事です。