あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

創作色々:『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)かーらーの、『蜘蛛の糸のおまけの糸』(私)とか。

 ふっつりと途切れた蜘蛛の糸が、墨で染めたような暗い宙に揺れていました。つい先程まで、ひしめき合う罪人達がよじ登っていたか細い糸でございます。蠢きながら取り付いて来る何百、何千と知れぬ亡者らにも、びくともせぬ不思議な糸でございました。それが、今、ぬめるように光る血の池を見下ろして、生温い地獄の風にふらりふらりと揺れているのでございます。

 思案深げな悲しい御顔をなさりながら、御釈迦様は蓮池の縁にしばらく俯いておいででした。得も言われぬ蓮の香りは、日盛りの極楽の園に満ちるように漂っております。翡翠色をした蓮の葉の上で、蜘蛛は丸々とした自分の尻を撫でさすりました。気付かれた御釈迦様は、彼の糸を拝借した礼の御つもりでもございましたか、頬の辺りへ微笑を浮べられて僅かに会釈なさいました。蜘蛛もまた、誠に恐れ入った様子で、もう一度、己の丸い尻を撫でて見せたのでした。

 極楽には、日が陰る暇はございません。眩しく白々した光があるばかりでございます。御釈迦様がお歩み去りになる折、物憂げな一瞥を池の水面に投げられました。蓮池の底には暗い地獄の闇が覗いております。蜘蛛はまた、何事も無く、銀の糸を架け始めたのでした。

 

(完)

 

つーびーこんてぃにゅー、は、しない。

 

今までの、色々も、こんな感じ。⤵

http://akarinomori.hatenablog.com/entry/2018/07/13/173138

嘘吐き江戸風味

 

こんなんとか。⤵

http://akarinomori.hatenablog.com/entry/2018/02/13/140225

謎のマダムと新米記者の私、とか、不思議な設定

 

 

外は冷たい雨です。おこもりをしていると、色々な想像が膨らんで来ます。