あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

たわわ、たゆたう、たまわる日

 昭和記念公園。

 空気中には霧のような水の粒子が漂っていました。長く降った冷たい雨が朝には上がり、彩り鮮やかな樹々はいっそう美しく輝いていました。夏の頃に鬱蒼と頭上を覆っていた落葉樹の枝葉も昨晩の冷え込みで葉を落とし、いくらかしとやかになった様は、かえって奥ゆかしさが備わったようです。湿った土の上に、そびえる大樹の濡れた木肌は、漆の筆を走らせたごとし。黒々とした幹に、赤や黄で染められた数々の葉は工芸品か刺繍細工の優美さで華を競い合い、見惚れる私達に自然の作り出す造形が人智の及ばぬのを知らしめるかのようでした。

 広大な恩賜公園には、名も知らぬ草、見分けも付けられない野山の樹々が植えられています。いや、元々の原野を切り拓いて文人好みの庭園に作り替えた物かも知れません。そこかしこで妙を競う秋の風物と、いつまでも憂鬱な表情を崩さない寒々しい空があり、散り敷いた落ち葉を、金粉を蹴散らすように払い除けて走る自転車があります。

 7歳になったばかりの長男は、もう身体には少し小さいように思われる子供用自転車に乗り、私は3歳の次男を後ろ籠に詰んだママ用自転車に乗り、ただ子等の笑い声を聞きながら道を行くのでした。