あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

「ほ」の字見舞い

 父が生きていた頃には、夏はよく桃が届きました。岡山県も山梨県も桃では有名ですが、私の故郷の和歌山県もブランド名が付くような桃が採れます。田舎から贈答用の桃が届く度、「娘に届けるのだから、別に値の張るものでなくてもいいのに」と返すのですが、父は必ず言いました。「お前に届けたのじゃない、ワシの孫に届けたのだ」と。それはお見それしましたと苦笑いです。

 残された母も、折々に名産の温州ミカンを送ってくれます。言ってはなんですが、東京には各地の名品が揃います。デパートに出向くまでもなく、スーパーの陳列棚には各地の有名どころが小袋にされて並べられています。母が、老体に鞭打ってわざわざ地元物産広場に出向き、目利きをし、決して安くない郵送代まで支払って送り届けてくれなくても、手軽で便利に、そこそこの物なら何でも揃うのです。

 それでも頑なに母は譲りません。「あんたの為にじゃないの、私の孫に食べさせたいのよ」と。おやおや、さようでございますか、失礼しました。

 とはいえ、いつでも感想を訊く相手は可愛い孫でなく娘の私です。

 「この間の蜜柑、美味しかった?」

 知っています、私。父と母の本命が、本当は「孫」ではないという事。