あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

光の野に、鳥を放つ

 霜柱が立つような冷え込んだ朝が続いています。戸口に立って子供を見送る時、我が子の名を呼ぶと、私の唇から白くて丸い息が出ます。冷気に負けて、すぐに消えてしまう儚い湯気が、走り去る我が子に追いすがっては霧散してしまいます。

 息子達の名は、籠るような母音に形作られた響きであるので、この凍える季節に声へ乗せると、ふっくらと丸みを帯びます。丸々と膨らんで、淡々と去って行く彼等の名の、なんと可愛らしく、愛おしいこと。ただ、ひたすらに幸せに、成長したその先でも、私が去ったその先でも、ずっとずっと満たされた人であってほしいと、願うように祈るように名付けた大切な名前。混じりけのない、研がれたように瑞々しい冬の日に生まれた人達を、母は幾重にも名前の毛布でくるむのです。この願いは私の独り言、この祈りは私の慰め。知る由もなくて構いません。これは母の我が儘なのですから。

 息子達を見送る戸口は、少し心もとないのです。彼等の背中を信じていても、なお手放し難いのです。人知れずで構いません。彼等の足手まといにならない程度に、見えないお守りを身に付けて出掛けて欲しいのです。

 丸い息に込めた、この言霊が、彼等に翼を与えますよう。