遠くて近くて、それでいい。

　定型がないから迷う事は沢山あります。自分とは何だろう、幸せとは何だろう、私の進むべき道はどこにあるだろう、そういう物を探して旅に出る人さえいます。旅行雑誌を眺めれば「癒し」の文字が判を押したようにキャッチフレーズとして掲げられています。

　ここではないどこかに、自分を納得させてくれるモノ、自分を満たしてくれるモノ、自分を無条件で受け入れてくれるモノが「あるはず」だ、と私達は夢想しています。でも、それでいいのです。勿論「幸せはすぐそばにあるよ」「恵まれた環境に感謝しなよ」も、正しい意見でありますし、また一方で「未完成」（だと思われる）自分だからこそ、この先を探索しようという意欲も湧いて来るのかも知れません。与えられた場所に居座る心地よさと、前進する高揚感は同時に持っていても構わないものです。

　明日が良い日かどうか、そんな事まで人任せにしなければ、私達は案外「まんざらでもない」のです。立ち止まる自由もある、愚痴を言う気ままも許されている、不平不満が原動力であるのならこれも立派な「動機」です。

　どうしたいのか分からなければ、どうしたいか解るまで考えれば良いはずです。誰のせいにしても始まりませんから。