我ら『雨降り探検隊』
私には、雨傘がありません。自転車に乗る機会が多いのと、傘を持つと並んで歩く幼い子供を守れないので、手放してしまいました。雨降りの日は、ですから、どこへ出掛けるのもレインコートと長靴です。
病み上がりの次男を連れて、サヤサヤと細かく冷たい雨が降り続く日、家の周囲を散歩しました。東京の郊外には、まだ農耕地が多く点在しています。畑には白菜や大根などの冬野菜が列になって並んでいます。霧雨に濡れた野菜を眺めながら、あっちへ寄り道、こっちへ道草をしつつ当てのない私達の散歩は続きます。
田畑の脇に転がされた朽木を、長靴の底でエイっと転がせば、寒さに凍えた虫たちが穴だらけの腐った木の隙間に逃げ込みます。大人の小指ほどもある大きなミミズが、枯れた木の葉の暗がりへ、ズオーっと潜ります。粘膜質の紅い肌に、薄い緑色の綺麗な皮膚組織が輝いたので、私はもっと観察したくて身を乗り出しました。しかし瞬く間に姿を消したミミズの素早いこと。虫食いだらけの常緑樹は、葉っぱの先が棘でいっぱいです。不用意に近づく幼い次男を威嚇しているよう。
ほらね、石の下には、息子が大好きなダンゴムシ。
傘をささない私達だから、時々、こうして大冒険。