あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

柚子と子等と。

 「もう、これで十分です」「お腹一杯です、ありがとう」と相手の厚意を適当に切り上げるのは、なかなか難しい事かも知れません。本当に自分が満たされていれば、遠慮なく辞退出来るでしょうけれども、空腹の時や虚無感に苛まれている時には、重ねての恩恵を求めてしまいがちです。

 自分を支える言うなれば自信のような確信のような物があれば、それを杖にして上手に足を踏みしめてもいられるでしょう。「これくらいで足りる」と目測出来れば容易いのですが、弱い自分は、自身の「器」を大きく見積もりがちです。もっと埋めなければ、もっと充実させなければ、もっと質を上げなければ、もっと膨らませなければ、と自分の頭のその上を信じて背伸びしてしまいます。与えられた物で、もう服のポケットはパンパンなのに、肩に背負った鞄ははち切れそうなのに、腕に抱えた幸福は、もうすでに溢れて零れ落ちてしまっているのに、焦燥感と飢餓がずっと影のように付きまとっているのです。

 冬至よりも少し早い日の夜、湯船に小さな柚子を4つ浮べました。

 たった4つの黄色い柑橘に、声を上げて喜ぶ子供等がいました。

 キャッキャと声を上げてはしゃぐ彼等を、ずっと長い間眺めていました。