あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

冬日

 私の弟には不思議な能力があります。生まれ持った色と言った方が良いかも知れません。ふれあい牧場で放し飼いにされてある馬に「おーい」と呼び掛けると、ポクポク、馬が彼に歩み寄って来ます。犬や猫などの比較的小型の動物ばかりを見慣れている私は、頭上から眺め下して来る大型草食動物の大きさにグっと怯むのですが、弟は「はーいはい」と低い声で何かを話し掛けながら馬の額を撫でなどしております。

 言葉数は幼い頃から少ない人でした。誰の味方もしない代わりに、誰を攻撃する事もありませんでした。だからと言って空気のような存在であったわけではなくて、友達の輪の、その一周り外側でホワホワと笑っているような男子でありました。

 そんな彼は、私と私の家族を、やはりホワホワと優しい眼差しで今も見守ってくれています。女にしてはいささか猛々しい所の有る私を姉に持っているから余計に思慮深く育ったのかも知れません。私は東京、彼は北海道と、遠く隔たって暮らす私達ですが、時折届く彼からの労わりの言葉に、胸が詰まって涙が零れそうになります。

 一つ不足している物があれば、一つ与えてくれるのが兄弟なのでありましょうか。北海道の冬に、想いを寄せます。