あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

吹けよ、東風(こち)。

 梅干しの生産量日本一の県出身である為、肩を持つのではありません。冬生まれの私が冬と春の境目に愛着を持つのは自然な事柄で、なおかつ桜よりも梅に魅力を感じるのは自然な流れであります。

パッと咲いてパッと散る潔さと華麗さは、確かに桜が好まれる条件の1つでしょう。幹肌の黒々としたところにピンクや白の賑やかな花弁が一斉に群がるのも見応えがあります。引き比べれば、梅は本当に「地味」です。けれども、それが良いのです。

 しみじみとして、品がある、いっそ涙ぐましくもあるつつましさです。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言いながら、よく植木職人の父は庭植えの梅を手入れしていたものでした。梅は花が終わった枝を一思いに切り戻します。これをしておきませんと、樹形も様になりませんし、何より、翌年に咲く花の数が減ります。山林などに自生している梅の木を見れば解るのですが、野放図に伸び広がった枝は、かえって他所の樹木に覆い被さり、梅の木自身が窮屈そうです。

 手間がかかる梅の木は、好む人にこそ好まれる木です。手を添えてやってこそ、可憐に咲く少し憐れで可愛らしい花。

 慈しむ人を亡くした我が家の梅に、春の風は今年も吹き始めたでしょうか。