あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

宿る地

亡くなった人の体そのものは、いつか消え失せる。魂というモノ、あるいは概念が残されるのだとすれば、その存在を象徴するのは墓であり、仏式で言えば仏壇という事になる。

実家には父方代々の墓所がある。父は姉がいたものの長男であったから、苗字を継ぎ、墓も継いだ。父亡きあと、父の妻である母がそれらを守って田舎暮らしを続けており、いわゆる「墓守=はかもり」をしている為、法事だ、仏事だと、定められた祭りごとに忙しい。日常の墓参、朝夕には清めた仏壇に膳を具えて手を合わせる。

そんな母がこの頃、墓じまいを考えているのだ。肝心の長男である私の弟は実家を離れて北海道に移住した。

母にすれば苦渋の決断。老いの身には今後の墓守がおぼつかない。

私達が「魂」をないがしろにしているわけではない。ただ、彼女にとって「祭る」という作業は、我々では考えもつかない厳粛な行いなのだろう。

「よすが」「よりどころ」。彼女の描く深い場所の話だ。