内なる外

我が家の玄関には、洗いざらしの白いカヤ布が吊るしてある。ほぼ、天上から床まで、シースルーの幕が垂れ下がっている。風が良く通るので、今の季節はフワフワとよく揺らいでいる。完全な目隠しにはならないが、あちらとこちらの間にあって、ふくよかに境界を定めてくれるのだ。

ダイニングとリビングを隔てる場所にも暖簾を掛けてある。夏にはひも状のストリングカーテンに付け替えたり、冬場は丈の長い厚手の綿素材にかけ替えたりする。ダイニングと脱衣所には扉が無いため、大きなシャワーカーテンを自分で任意に切り揃えて透明なフィルムカーテンで間仕切りとした。あえて布地にしなかったのは、水回りからの湯気を遮る目的と、防寒・防熱の助けとするようにである。

私はドアでこまめに区切るのは好まない。必要に応じて「なんとなく」囲うのが好きなのである。あけっぴろげでは心もとない。閉じ込められると気詰まりになる。

遊牧民的な、小さな自由を好む。