おごりの春は美しい
年若い人と話す機会があった。共通のテーマに寄せた意見のそれぞれが、面白くて楽しかった。人間性はどこから構築されるのか、とも思ったし、若いからこその気持ちよいほどの傲慢もある、とも思ったし、若かりし頃の私を大きな懐で包んでくれた人の想いはこれだったのか、とも思った。
どんなに経験値を積んでも、その粗削りの宝石に最後の磨きを掛けられるのは、もしかしたら年齢の重なりであるのかも知れない。歳を食っていればいいという、そのような皮肉ではなく、年を経る事でしか浮かび上がってこない艶がある気がするのだ。
かつての栄華を振りかざす煙たい老人の話をしているのではなく、若さの無防備というのか、怖いもの知らずというのか、触れれば火傷しそうなものをくるんでやることができるものは、柔軟に揉み込まれたしなやかな布でしかないのではないかと考えたのだ。
若者はもっと奢って(おごって)いい。きちんと奢ってから、真実を知ればいい。