あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

いざ、装わむ。

 すれ違う外国人の方が、晴天の空から切り取ったような美しいブルーのスカーフを巻いていました。赤と黒の大きなチェック柄の外套を羽織って、パッチワークの帽子は無彩色の様々な布で仕立てられています。肩幅の広い、むっちりしたシルエットで、これらを上手に着こなしているのは白人の男性でありました。

 別の時には、手押し車に寄りかかり、信号待ちをしている御婦人に遭遇しました。豊かな白髪は緩やかにパーマでボリュームを出してあり、生え際は微かな紫に染めてありました。皺の寄る口許には、漆のような真っ赤なルージュです。全然奇抜ではなくて、彼女らしい艶っぽさがきちんと存在していました。

 奥ゆかしく控えめな美を好む日本人が、同じ色あいを選ぶとピエロの出来損ないになります。何故でしょうか。現在では異文化の美を広く受け入れている下地があるのでさほど驚かれませんが、それでも、実行には勇気が必要です。

 ただ、祝儀で纏う晴れ着などには、極楽蝶花の贅を尽くします。そこでは「ハレ」と「ケ」を重んじるつつましやかな誇りに触れるかにも感じられます。日本の美とは、ここぞという折にパッと華やいで神々しい、背筋が伸びるようなものかも知れません。