limited
踏み切った雲のはしを、もう振り返らずに、つむじ風を掴んで、駆け上がる。
一人分にさえ足りない翼、紺色の景色を叩いて走る、追い付けない貴方と知っている、巻き戻せないぬるい幸福と知っている。
もう、「自分」には邪魔されない。もう、「自分」には邪魔させない。
貴方を知ってしまった。「貴方のいない時間」を知ってしまった。
少し遅れて笑ったあの意味は何?
言葉を探して、やっぱり止めて、しまい忘れた笑顔だけを見せた貴方。
ありのままを私に残すのは、残酷。ありのままで私を包むのは、残酷。
たどりそこねた優しい「お話」を、曖昧な「確かさ」に戻して繋ぎ止める瞬間、眉間に少し力を入れるの、泣き出しそうになるから。気付かない振りをしてくれたのかな、元通りに演じてくれたのかな、そう、だって貴方の思いやりはいつだって綺麗。
両手に掴んだつむじ風に連れ去られ、私は立ち止まれないまま。
貴方の今日を私に下さい。
貴方の今。貴方の笑顔の先。
(夏のポエム的な何か(笑))