あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

いんでん、でんねん。

 印伝の名刺入れを購入しました。紅色に染めた鹿皮に、黒漆で唐草を描いた優美な意匠です。定期入れ、印鑑ケース、自宅鍵用のキーホルダーも、私は印伝で揃えています。耐久性もあり、柔軟性もあり、小洒落ているのに主張し過ぎないのが気に入っています。

 印伝とは、なめし皮に漆で文様を施した伝統工芸を指します。日本では古くから生活用品や武具の仕立てに用いられて来ました。とにかく丈夫で、使い勝手が良く、触り心地がなめらかで手にしっとりと馴染みます。

 名刺入れを持つと言う事は、私に「肩書き」が出来たと言う事です。何者かとして役割を割り振られた、という意味合いもあるでしょう。

 新しい職場から、そこにふさわしく振る舞うように与えられた名刺を、角を揃えて丁寧に、下ろし立ての紅い名刺入れに仕舞いました。いつか近いうち、私はまた、別の役割を与えられて違う肩書きの名刺をこの美しい入れ物に収め直すことでありましょう。背筋を伸ばし、その場にそぐう笑顔を浮べて、敬意を込めて会釈をするはずです。出会いの1つ1つを疎かにする事なく、繋がりの1つ1つを僅かなりでも育めるよう、四角に整えられた小さな紙片を渡せたら良いのに、と思っています。