綺麗な人
「物足りない」のを、余りマイナスのイメージで捉えない方が良いのかも知れません。満足している状態が10であるとするなら、「物足りない」状態は7分目か8分目くらいでしょうか。もうちょっと、何か足しても良い、少しくらいなら当たり障りのない物で埋めてもいいのじゃあないだろうか、とも思える具合でしょう。
ですが、「物足りない」は、むしろ、今の私達にこそ「丁度良い」のではないだろうか、とも考えるのです。
例えば、話し相手への説明事項は、ほんのわずかに「物足りない」程度が適量であろうと感じられます。話を受けて、それに興味を持った人が、更に先を知りたくなれば自ら深い部分を訊きに来るでしょうし、そうでない人は腹八分目ですので胸やけしなくて済みます。最初から「物足りない」のですから、圧迫感を感じなくてもいいですし、自分自身で判断して考える余地さえ生まれます。
物足りない人、は褒め言葉としても侮れないと思います。私からすると、決してけなし言葉ではないのです。余りに淡泊で味気なく思われる面がありますが、一方で、親切心の押し売りもありません。
多くを語らず、いつも機嫌よく振る舞っていながら、存在感がある人は、綺麗です。