あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

まだまだ未完成な「Anniversary」だけど。

加齢の為か

あっさりした物を好むようになってきた私に

「昼食に中華」という選択肢が無かったのは

仕方ない。

記念日に大した事は出来なかったから、と

主人が言っていたのを思い出したのは

高級とまではいかないけれど、

入店する時に少し背筋が伸びる程の

中華料理専門店の入口に立った時だった。

ああ、中華料理かあ、と

眉をハノ字にして立ち止まってみたものの

息子も喜んでいる事だし

(彼は何にしろ日常生活と離れた事をするのが

大好きだから、参考にならない)

わざわざ主人が名指しで来店した店であるので

ホワホワしながらも従う事にした。

 

上京して数年。

笑った数と泣いた数、

いったいどっちが多かったろうか。

伴侶が思いの外、頑固で自信家だった事に反発し、

随分、いらないいざこざも経験したものだった。

酒も煙草もやらない実家から

いくら飲んでも潰れない酒豪に嫁ぎ、

帰宅後すぐの晩酌の習慣でウンザリしたり、

思い通りにいかない育児に悩んでいる所へ、

正論の銃撃をしかけられてハチの巣になったり、

短気な事この上ない相手に

のんびりマイペースを叱り飛ばされたり、

子供を連れて、

泣きながら実家へ戻るに十分な理由だらけの数年だった。

 

のに。

 

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「蟹とレタスの炒飯、美味しいね」

 

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「私、北京ダックって初めて食べた」

 

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「(横取りしようとする息子へ)これは、お母さんのだってば!」

 

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「これ、表の看板に出てた海鮮焼きそばだよね」

 

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「絞めはやっぱり杏仁豆腐でしょう。うふっ」

(でも、フルーツは息子達に取られる)

 

なんて。

 

他愛ない

明日には忘れてしまうような

国の政治を微塵も動かせそうにない

会話をしながら、

何日か遅れの

記念日のランチを

主人と向かい合い、

子供達をあやしながら、

急ぎ足で

口に運んでいるの。

 

不思議だね。

 

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周囲はスーツを着た会合の人達や

小奇麗な格好をした物静かなご家族や

上品な御婦人と行儀の良い小さなお嬢ちゃんや

世の中の「上質」を煮詰めたような

厳かな雰囲気であるのに、

場慣れぬ我が家の兄弟だけが、

夜店で駄菓子を買ってもらう具合の雰囲気で、

お父さんのサングラスを拝借してみたり、

朗らかに馬鹿笑いを繰り広げてみたり。

 

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ねえ、記念日って

こんなに賑やかだったっけ、ね。

 

この数年で

我が家に蓄積されてきたものは

食事を囲む私達を

こうして一つの力で

結び付けてくれている。

 

良い意味でも、悪い意味でも。

 

記念日、と銘打って

かしこまる程ではないけれど、

誰かを喜ばせたい人と

誰かに笑顔をプレゼントされる人と

その周辺で

楽し気にキョロキョロする人達とがいれば

それこそが

私達の誇るべきもので

あるのかも知れないですよね。

 

(表参道『南国酒家』さんにて)