なめてもらっちゃ、困るのよ！

　豆苗は、実に健気でいじらしい植物です。購入時は、ピッチリとした透明の包装に包まれて真っ直ぐに天を向いて一糸乱れぬ束になっておりました。根元を残して上部を断ち、しっかり育った茎と葉を炒め物にして賞味しました。

　根が張り巡った株を栽培容器に入れ、本格的に楽しむのは２度目の栽培です。冬の台所では生育が悪かろうと、リビングのメタルラックの上へ避難させました。南西向きの窓辺は、レースカーテン越しにも陽が降り注ぎます。冬の温度帯では参ってしまうパキラも、室内のそこへ避難させておりました。同じくシノブの鉢植えも、テーブルヤシの鉢植えも同箇所に揃っています。ここへ、後輩の豆苗が加わって、正午の窓辺は緑で賑やかになりました。

　微笑ましく眺めていたところが、です。１０日ほどで、豆苗がドンドン生育してしまい、あろうことか、近隣の植物に巻き付き始めたのでした。ヒョロヒョロと可憐な２番煎じの豆苗の枝ですが、何たる生命力の強靭さでしょう。確か「絞め殺し植物」である藤の花も「マメ科」であったとかなかったとか。

　蔓状の美しい豆の苗でも、はやり「野生」であるのだな、と、感心しつつも、キッチンバサミで「THE END」。御馳走様でした。