あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

自転車

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ハンドルを

力一杯握り締め

フラフラ、フラフラと進む君。

真剣な眼差しで直線を行く姿は

新しいヘルメットを無邪気に喜んでいた

さっきまでの君と同じ人だとは思えない。

 

ブレーキをかけ損ねて転びそうになり

曲がり切れなくて足がもつれ

ついつい視線は下がりがちになるけれど

グっと我慢で歯を食い縛る。

 

落ちそうになる知覚

たしなめられては軌道修正する輪郭。

 

私達は時に

大きな課題へ力試しを挑んでいく。

立ちはだかる物へと

鋭い視線を定め、

動かざる物事への

敵対を演じる事がある。

遠くを見るんだ

自分の悲劇をクローズアップせぬように。

最初の一足は欲張らず

覚えた事を思い出す為の時間稼ぎだと思って。

 

悪戦苦闘したとしても

身体は所作を憶えている。

大丈夫、頭で思い描いた事よりも

よほど野生は正しいやり方を知っている。

上手に行かない事は

実は嘆くに値しない。

覚えたての自転車の運転のように

フラフラと心もとなく

ところどころ自分を失くして進む。

解らなくなったら遠くを見よう。

感覚を疑わず、もう少し自身を信じたらいい。

両脇をすり抜けていく達人等は

敵ではなくて

やり方の答え合わせをしてくれる

心強い模範なんだ。

 

ペダルを踏んで走り出す、

地を蹴ったら、もううつむくんじゃあない。

自分で自分を煽り立てたらいいんだよ。

ブレーキを解放して

胸で風を切ったら

一つ一つの筋肉で力を伝え、血を送り出し、

進む事だけを考える。

まずは自分自身を喜ばせる為に

その道を走ってみよう。

見える景色の美しさを、心に刻んで忘れないよう

めいっぱいつぶさに滞る事なく焼き付けよう。

やがて横に並んで走る仲間達へ

混じりけないエールを送られるように

君は君の精一杯を

正直に今はただ、

駆け抜ければいい。