あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

母、ゲレンデに立つ。

子供というのは

ある程度大きくなり、

自宅の留守番を頼まれるくらいの

年齢になると、

一人きりの退屈を紛らわせる為に

しばしば、

奥まった場所にある本棚とか

滅多に開かない戸棚とかで

自分達の家族写真が納まった

カラフルなアルバムとは別の、

古めかしいハードカバーの

重い写真ケースを偶然発見したりする。

無駄に重厚なそのケースの表紙を

後ろめたい物を盗み見るように

彼等は、こっそり開く。

そこへ飾られてある写真には

例えば、

松や楓が植えられた広い庭で

直立不動で半ズボンを掃いた

おかっぱ頭の男の子が立っていたり、

肩パットが入ったスーツを着た

見知らぬ男性が、

すかしたポーズを取りながら

サングラスをかけていたり、

訳知り顔でうずくまる猫のような

改まった表情で御屋敷の縁側に腰掛ける

老婆がこちらを見ていたりする、

そういうどこかしら「異世界」が

映っているものだ。

 

我が家の息子達も、

わんぱく盛りを迎え、

働きに出る私に向かい、

「うっせー、クソババア」の一言でも

言える年頃になったら、

放課後の退屈な時間を

もしかしたら自宅探検の遊びに

費やすことがあるかも知れない。

 

そんな時、偶然に見つける秘密の「異世界」が、

堅苦しい、厳かなものではなくて、

自分達を産み育てた「クソババア」の

若かりし頃の、

若気の至りの、

こんな弾けた写真だったなら、

ちょっと、

面白いのではないだろうかと、

そう企みながら、

私は

宝の隠し場所を記す悪党のように

日々、無心になってカメラのシャッターを切る。

 

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