あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

家族の食べ物

昨日の夕飯の話。

「手巻き寿司って、私、今日、初めて作るんだよね」

あれこれ具材をテーブルに並べる私に

「嘘でしょ」

鼻に皺を寄せて主人が小馬鹿にしたようなコメント。

 

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「だって、実家ではパーティーみたいな事はほとんどしなかったし、

それに、独り暮らししててもあんまりそういうのはしないよね」

台所に立つ私は、

食卓で子供用の手巻き寿司をこしらえている主人へ尋ねる。

彼は息子の好みを訊きながら

大きい海苔をクルクル。

「まあ、独りじゃ手巻きはしないな」

「でしょ」

独り鍋でも独り焼肉でも

今の流行りなら何も気に掛ける事はなさそうだ。

けれど、

独り手巻き寿司というのは

別格なのかも知れない。

 

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(1歳次男には、炒めた魚と卵の海苔巻き)

 

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(最近覚えた手づかみ食べで、オラオラと野生的に)

 

「家族の食べ物なんだよね」

私は、ふと、

思い付いた事を呟いてみた。

「は?」

主人は眉を上げてこちらを見返す。

「いや、何となく、そう思ったの」

ぼんやりした事ばかり思い付くので

主人はすぐに私を馬鹿にする。

どうせまた、

歯牙にもかけないのだろうと

私だって眉を上げて応戦の構えを取る。

 

「確かに」

彼の同意が意外な程、

素直に私達をなだらかにしてしまって

「独りで手巻きをしても楽しくないからな」

昇りかけた気持ちが

ツルツル、平らな場所に滑り下りて来た。

「家族の食べ物だよね」

信じられない気持ちで私が念を押すと

「何だよ、それ」

また色を深めた主人の声が切り返すけれど

馬鹿言ってんじゃないよ、とは

叱られなかったから、

彼も実は

私の「命名」を

気に入ったんだな、と面白くなった。

 

醤油ばかりを付けたがる長男を牽制しながら

主人は次々と具材を海苔で巻いていく。

黙々と食べ進む男達の食卓は

華やかな事の乏しいものだけれど、

地位を得た「家族の食べ物」は

そこに誇らしく散らかりながら

確かに我が家を

満たしていった。

 

(ブログ日数100日目。よくもまあ、自分の事ながら

コツコツ書く事があるものだなあ、と感心。

子供達がいるだけで、次から次へと「事件」が起こる不思議。)