あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

習い事、社交界始め。

 先日ついに、表千家の茶道を習い始めました。先生は、自宅に茶室を構える大豪邸の奥様で、すでにお孫さんもいらっしゃるとの事ですが、まだまだお若い貴婦人です。

 およそ10年さかのぼり、私が学生であった頃、実家近くの茶道教室に通っていました。指導して下さっていたのは、社中に大勢のお弟子さんを抱えるおばあちゃま先生で、やはりご自宅の一室を茶室にし、同時に華道教室もお持ちのパワフルな方でした。東京に嫁ぎ、それを機にしばらくお茶からは遠ざかっていましたが、心ときめくものがあり、昔の杵柄を取ってみたくなりました。

 私を迎え入れて下さった先生は、曰く「堅苦しい事と理不尽な事が大嫌い」とおっしゃる明るい方でした。しきたり、伝統、奥ゆかしさ、古色然としたもの、お茶の世界とは一般にはそうした様々が混然となった敷居の高いものと認識されているかも知れません。暇を持て余した趣味人が社交の場として通うもの、と煙たがる人もいることでしょう。しかしながら、武家の貴人、商家のご子息が手習いに出向いていた時代は遙か昔です。決して遠巻きに眺めてため息を吐くだけの世界でないのは、一般庶民でシングルマザーの私が安月給をやりくりしながら、始めようと決心したのを鑑みれば解る事でしょう。

 一橋大学がある町の一等地に居を構えるその茶道教室に、最初にお邪魔したのは年が改まった後の初釜の日でした。いきなりのお稽古始めに初釜(はつがま。新年最初に行われる稽古始めの日。茶道で重要視される稽古日の一つ)から入る恐れ多さ。先生が教えてらっしゃる現役の生徒さんは私の他に3人で、年齢が上の方ばかりでした。それぞれに趣向あるお着物姿で名のある帯をお召しになって、整えられた居住まいにて定刻よりも先んじて待合に集っていらっしゃいました。子供達を保育園に自転車で送り届けた後、ジーパン姿で刻限ギリギリに遅れ参じた私の乱れ姿とは、比べるのも馬鹿馬鹿しいお話です(勿論、先生のお宅に到着次第、別室で洋装の平服に着替えるつもりではありましたが)。その際立つ白鳥の群の中のお一人が、暗に私を評しておっしゃったのか、くっきりと紅が塗られた口を歪めて一言。「私、遅刻してくる人の神経が信じられない」。確かにギリギリではありましたが、私は遅刻していないので別の話題についてのコメントだったのでしょう。が、その場に微妙な空気が流れました。

 新たな年に手痛いパンチ。