あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

「僕だから、出来て当たり前」。気持ち良くそう断言出来なくなった「かつて」の「僕たち」へ。

 今月7歳になる長男は、もうすでに幼子ではなく、すっかり少年です。悪ふざけをする同年代の友達同士、肩をぶつけあって歓声を上げる姿は我が子でありながら、何故か遠い存在のようです。緑濃い芝生の広場に、仲の良い猟犬の兄弟を解き放ったら、きっとこんな感じになるだろと愉快です。

 夜長の秋、朝冷えの秋、毎度、朝に長男を起すには母にとって難事業。25kgに迫ろうかという体重に加え、布団から引き剥がす為に抱きかかえると、触れる身体部分の全てが発達した筋肉と骨組みとで、まるで良くできた人体標本を持ち上げているような重量感なのです。一つ間違うとこちらが腰を傷めるので、両足の屈伸を利かせて踏ん張ります。少し目を離した隙に温かい寝床に舞い戻る彼を、油断なく見張りながら朝食作りにいそしむ日々。

 生意気な口を利くようにもなりましたが、一方では気弱な事を言う事もあり、時に甘い抱擁をせがんだりして、いじらしくも可愛い我が子なのだと母の喜びを実感する日もあります。

 よくもまあ、あのヒヨヒヨと息を繰り返すだけの小さかった人が、逞しくすがすがしく育ったものだと感心します。彼の成長ぶりを、生命力の強さを、ただオロオロ見守っていただけの私には、何だか勿体ないような気もするのです。間違いなく、死ぬような想いをして産み落とした我が子なのですけれど、どこか尊い場所から期間限定で貸し出された小動物みたいです。

 ある夜、彼は私が録画していたアニメを観ました。弓道部に所属する青年達の成長がテーマの作品でした。京都アニメーション株式会社が制作に関わった美しい映像が印象的でした。翌日、朝食に箸を付けながら息子が言うのです。「弓ってどうやって引くの?」と。「貴方は右利きだから、右で弦を引くんだろうね」と応えると、すぐに「僕もやってみたい」と無邪気に前のめりです。「小学校で弓道部は無いだろうから、始めるのなら中学生かな」「どうやったら入れるの?」「弓道部がある中学校は公立では少ないから私立受験だよね」「じゅけんってなーに?」「お勉強してテストを受けるの」「テスト受けたら入られるの?」「合格したらね」「合格したら、きゅーどー出来るの?」「出来るよ」。両頬にパッと幸せそうな色を浮かべて彼が言うのには「弓をパーンってしたら、(的の)ど真ん中にブスっと刺さるよ、僕」だそうです。何のてらいも無い、何のしがらみも無い「大正解」。

 この子の親で良かった。