あかりの森's blog

7歳、3歳の怪獣達と楽天家シングルかーちゃんの雑記帳。主にのほほん、時々、真面目。

若木の森’s blog記事

 トンビは鷹を、時々生みます。瓜のツルにも、たまにナスビは成るようです。

 自慢と言うにはいくらか覚束ない事実なのですが、長男・次男といる内で我が家の長男の「優男ぶり」はちょっと実母ながら眉唾である念が拭えません。「可愛いねえ」「かっこいいねえ」は赤ちゃんに対する褒め言葉の常套としても、生後3ヶ月にしてすでに「イケメンですね」と会う人ごとに言われてきた長男は、どんな隔世遺伝を経ればそうなるのかという生命の神秘を体現している男子なのでありました。「申し訳ありません、お宅のお子さんは、当医院で取り違えられておりました」と、お世話になった産婦人科の先生に土下座されたとしても、「ですよねー」と指さして一緒に笑ってしまうかも知れません。くっきりとした二重まぶた、通った鼻筋、少し緊張気味に引き締まった唇。いったい、お前は誰の子。

 

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↑この人がいわゆる長男氏。

 

 目を転じて、次男を見ればこれがまたものすごい安定感を催します。ふっくらほっぺ、一重の目、ちんまりとした鼻、ぽってりとした唇。人見知りもほとんどせず、誰に対しても満面の笑み。大福餅に目鼻を描いたような福々しい有様は「ザ・赤ちゃん」のそれです。眉の形は紛れもない母である私の物、輪郭と全体的フォルムは主人の幼少期そのもの。生まれた時から「我が家」の人。何か、問題でも?と、デーンと構えた堂々たる「我が子っぷり」。

 

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↑この人がいわゆる次男氏。

 

 同じ父、同じ母の組み合わせでこうも違うものなのですね。世渡りの下手な長男。人たらしの次男。我慢強い長男。甘えん坊に見せかけて知能犯の次男。プライドの高い長男。別の場所にプライドがある次男。複雑な思いやりを持つ長男。単純な愛情表現が得意な次男。「兄」という立場が実は誇らしい長男。「兄」のやることなすことに羨望する次男。

 朝起きて、私が朝食を作る間、子供達はリビングのソファを中心に思い思いの時間を過ごします。5歳児の兄は専ら自分専用のスマホで大好きなユーチューバーの動画鑑賞です。1歳児の弟は、兄が遊び飽きたプラレールをいじくり回しております。「お着替えしちゃいなさいよ」と、合間に私が兄の着替え一式を絨毯の上に置いておくと、心そこにあらずの兄は知らんぷりで、ハッと気付いた弟がせっせとそれを兄の元に運んでいきます。スマホに熱中している兄にグイグイ押しつけつつ「あい」「あい」と世話焼きも甲斐甲斐しく、涙ぐましいお節介ぶり。「ああ、君は、取りあえず、ズボン履こうか」と、私はオムツ一丁の次男を抱き上げて同時に彼のお着替えを済ませるのでした。

 繊細で感情が内側にこもりがちな長男は、近頃、軽い反抗期に突入したようです。相手がどうこうでなく、自分自身に納得がいかないと気持ちが昂ぶってしまいメソメソします。溜めて、溜めて、ドーン!というタイプではなくて、憤懣や良くない感情や、鬱屈したガスは小まめに出していく性格のようなのです。対する次男は、病気にしろ単なる発熱にしろ、日々のストレスにしろ、癇癪にしろ、圧縮して練り合わして、予期せぬ時に大噴火させるタイプです。「昨日までのお前は別人か」と言うほどの徹底ぶり。

 恐ろしく寝付きの良い長男、恐ろしく寝付きの悪い次男、そのどちらもが就寝時には「お母さんと寝るー」とまとわりつく面倒。これもその時ばかりの期間限定の楽しさだと自分に言い聞かせて寝かし付けに入るのですが、どうしたって昼間の会社勤めで疲れている母には布団のぬくもりがたまらない誘惑であるわけです。次の日、飛び起きて、昨夜にやり残した事を死にもの狂いで片付けて回る悲劇が待っています。であるにも関わらず、抗えない、子供達の高い体温と、寝床の心地よさ。早々と寝息を立て始める長男と、息を潜めて子供達が寝入るのを待っている私の間で、眠い体を持て余した次男が、芋虫みたいにグルングルン際限なく回転を繰り返しております。寝ている長男の上へお尻を乗り上げてみたり、寝そべっている私へグーパンチしてみたり、赤ちゃんながらも腰の入ったボディーブローは結構痛いです。

 トンビが産んだ鷹。トンビが産んだトンビ。

 瓜のツルに出来たナスビ。瓜のツルから丸々とした瓜。

 でも二人とも、やっぱり「カエルの子はカエル」。朝起きたときの、愛おしい寝姿は本当に主人そっくりで笑ってしまいます(主人本人も大の字で寝る人なので)。肌着の隙間からのぞいたおへそ。このおへそと、私の腹にあるこのへそとが、ちゃんと繋がっていた頃が、確かにあったんだなと考えると、何だかため息を吐きたいような少し涙が出るような、幸せな気分になるから不思議なんですよね。

 夏の明るい朝日の中、汗で濡れた前髪を額に貼り付けて眠っている息子達。

 早く大きくなってほしくて、けれど、少しそれがもったいないような気もして、くすぐったいジレンマに母はしんみりしてしまいます。

 今日も頑張れカエルの子。あの雲超えて、跳んでいけ。